はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

ちはやふる3 第15話「ながれもあへぬ もみぢなりけり」

 かるたをやる人間は耳が良く、また記憶力も良いという事で、東大が登場…。かるたをやっている先輩も、現名人も東大生だと太一の母親が知れば、かるた部参加にも反対しないのでは?

 

作品の内容

新に告白された事に驚き、家でも心ここにあらずの千早。リビングでも椅子に座り放心状態でいる彼女の隣では、姉の千歳が、出演したドラマのチェックを母親の千春と共に行っているのだった。

期末試験のための強化週間として、部室で長テーブル二つをくっつけて勉強するかるた部。その中で千早だけが天井に視線を向け、勉強に身を入れていないため、見かねた太一が声を掛ける。新が千早に告白した現場を見ていた奏と菫も、千早の様子をうかがっていたが、太一が彼女に声を掛けたため、奏は思わず太一を呼んでしまう。

太一の行動を止めるにしろ、太一へ千早の状況を知らせるにしろ、どちらとも得策では無いと考えていた菫は奏の口を塞ぎ、適当な理由を付けて奏を引っ張って部室からいったん離れるのだった。

奏と共に校舎の影まで移動した菫は、新が千早に告白したことは当事者同士の問題だと、太一に話すことが無いようにと奏に念を押す。太一が好きだと皆が知っている菫には、この話は願っても無いチャンスだろうと奏は言い返すが、それでも、太一が今までできずにいた千早への告白を、あっさりとやってのけた新との差は歴然だと語り、とにかく外野が口を出す話では無いと、菫は押し切ってしまい先に部室へと戻っていく。一人になった奏も、菫の言った新の恐ろしいところを痛感はしており、太一はどうするだろうかと気をもむばかりだった。

部室では、未だに勉強に集中していない千早に、太一は試しに新の名を出してみる。何となくつぶやいた新の名に、瞳を輝かせて反応する千早を見て、太一も察するものがあったが、千早が言葉を手繰り寄せるようにして、新が東京の大学を受けることを知っていたのかと聞いてきたため、言葉を発さずにいた。そこへ、勉強しないのならうるさいと駒野から苦情が上がり、千早は取り乱したまま一時部室から出ることを選択する。

少し神経質にも見えた駒野の苦情だが、内心では学年首位を狙っている事や、奏への告白のタイミングについて思考を巡らせているため、その浮ついた雰囲気が伝染したのか、西田がとうとうクリスマスなどの話題をしないかと、逃避話を持ち掛け始める。

部室に戻ってきていた菫は、西田の皆も恋人がいない発言や、太一の家で集まる発言を聞いて青くなっていたが、自分の隣で涙を流し始めた筑波に気付き大きく引くのだった。理由を聞くと、弟たちがサンタに会いたいと言う希望を叶えたいが、大きくなってきたために、2月の節分では、父親が筋肉の肉襦袢まで着て鬼に扮したにも関わらず、履いている靴下が父親のものだと疑問を持ち始めたりしてしまい、家族だけでは限界を感じているのだと、切実さを訴え始める。そんな筑波家の問題に、その場にいたかるた部員は、何とも言えない表情になり、菫はどうでも良いと思うのだった。

部室に戻る途中で、千早が窓から外を眺めていたところに出くわした奏は、何が見えるのかと声を掛ける。珍しい白い鳩に、嬉しくて輝いているように見えると言う千早を見て、奏はずいぶん前に母に「逢いみての 後の心に くらぶれば 昔はものを 思はざりけり」の歌の意味を聞いた時のことを思い出す。千早にも、母が感じたようなことが起こっているのだと考えた奏は、とにかくまずは千早をこの場に留めようとするように、彼女の手を握って、一緒に鳩を見上げるのだった。

千早は、飛び立っていく鳩を見ながら、うっとりした様子で、自分も決定戦の様なかるたが出来るだろうかとつぶやき、恋の事で上の空だったのではないのかと、奏をがっかりさせる。

かるた部全員で揃っての下校中、菫は落ちてくる落ち葉を見ながら、綺麗な紅葉に対し、自分が太一の失恋を望んでいると罪悪感を感じていた。しかし千早を巡る攻防は太一に不利なことは変わりなく、彼を応援しようにも焦る気持ちばかりが浮かび上がって、菫は苦しそうに目を瞑る。

千早の携帯が鳴り、相手が北央学園の須藤だったために激しくどもる彼女に、同じく須藤の人となりを知っている2年生メンバー全員が注目する。須藤自身に用件は無く、すぐに変わった名人周防による千早の練習への誘いが電話の目的であった。耳を守るために、携帯を耳から離して通話する周防は、いつも通りの小さな声で話すが、誘われた千早だけでなく、傍にいた太一もその練習に参加すると、二人で声を合わせて応え、そんな似た者同士の二人を、菫は驚いた顔で見つめていたのだった。

高校の教師になると進路を決めた千早に、何の教科の教師になるかは決まったかと、職員室での面談で尋ねる深作。しかし千早はまだその話題に触れてほしくないのか、担任の深作に対して頭を下げて椅子に座り、視線を合わせることなく全教科の底上げをしたと言うだけ言い放って、逃げていくのだった。千早の行動に驚くことはなく、深作は期末試験の結果票に目を落とし、理数系は無理、体育の成績は輝かんばかり、そして、日本史の成績が良い事に目を止めたのだった。大学への進学をドアノブがあるチャンスだと捉えている深作は、千早がどのドアノブ、つまりはどの教科でそのチャンスをつかむのかとつぶやき、宮内から何を言っているのかと聞かれたため、チャンスはドアノブの無い扉の様なものだという話をするのだった。

須藤と周防の大学のかるた部の練習に参加するため、東京大学にきた千早と太一。しかしそこへ須藤からメールが届き、かるた部の練習場は、千早たちのいる文京区本郷にある安田講堂ではなく、文京区白山白山会館で行われることを明かされる。東京大学と聞いて素直に本郷キャンパスを訪ねた千早は、その情報に憤慨しつつ、須藤と周防をセットにした悪口を叫びながら、白山会館へ急ぐのだった。

白山交流館という表示を見て、ここで合っているかと確信を得られないまま入ると、後ろから周防に声を掛けられ、冷気を感じて縮こまる千早と太一。そうしていると、二階から降りてきたK大の小石川秀作が二人を見つけ、手を上げて挨拶をしてきた。

大学の違う小石川が何故この場所にいるのかと言う太一の疑問に、11月から練習を始める周防との練習をするためだと答え、二人を練習場のある二階へと案内する。

後輩たちにぜんざいを配っている周防は、相変わらずの小声で、B級には白玉を3個、C級には2個と、後輩との交流を彼なりに行っていた。そんな中、ぜんざいを貰った後輩女子二人が、名人戦の全国生放送を今年から行わないのだと言う話を周防にしたため、周防は煮詰まるぜんざいを眺め初めてしまう。沈む雰囲気に耐え兼ねた後輩男子は、ニコ動の生放送があるとフォローを入れるが、周防はネットの生放送ではダメなのだと言わんばかりに、彼にお玉を振りかざすのだった。

落ち着きを取り戻した周防は、ぜんざい配りを再開して次の順番の子に何級かと尋ねる。その質問に答えたのが、挑戦者決定戦で一目ぼれした千早と、その彼氏だと気づくと、千早にはあふれるほどのぜんざいと山盛りの白玉が入った椀を、太一にはほとんど汁気の無い小豆のみの椀を出し、千早をとられた憎さを晴らすのだった。

練習に入り、周防が髪を結ぶゴムがない事に気付いた後輩たちは、可愛らしいピンク色のシュシュで代用させ、大の男がシュシュを付けている姿を見て、少しほころぶのだった。

そんなやり取りも見ていた千早と太一は、大学のかるた部では可愛がられている周防に意外さを感じていた。しかし試合ともなると、誰も練習相手になろうとはしないのだと須藤は話し、超しつこいタイプの自分と、超懲りないタイプの小石川が主に練習相手になっているため、A級の練習相手は不足している現状を教える。

まずは周防に呼ばれた千早が彼の練習相手になり、太一は小石川の誘いを蹴って須藤とかるたを取りたいと申し出る。

周防のもつ雰囲気にのまれ、座る位置が遠かったり、顔があげられないと感じたりした千早だが、新と原田が激戦を繰り広げてまで戦いたいと願った人だと思い出し、試合に集中し始める。

対周防への対策はないが、周防の取り方をまねた経験のある千早は、それを生かしてかるたを取ろうとする。2字決まり等の決まり字の短い札は取られ、さらに決まり字の長い札は取りに行こうとすらしない周防に翻弄されながらも、ふの1字決まりを取った千早は、自分の耳の良さは通用するところはあると、ひとつずつ確認していく。

周防の強さに対抗しようと集中する千早に、今度は周防の動きに流されてお手付きしてしまう問題が持ち上がる。名人戦でも挑戦者にお手付きが多かったと思い出した千早は、流されないように、それでも取りに行くのだと意識するが、どうしてもお手付きしてしまうのだった。

太一との対戦中に千早の苦戦ぶりを見ていた須藤は、周防がいつも20枚ほどしかとらない事や、彼のかるたの取り方が気持ち悪い事を千早には言わずに送り込み、彼女がその術中にはまっている事に気が付く。千早も、周防がかるたの枚数をコントロールしている事に気付くが、相手の動きもコントロールする選手がいる事に、どう対処すれば良いのかと考えてしまうのだった。

千早の事を見ていた須藤は、千早は対処できずにこの試合は終わるだろうと考え、自分の試合相手である太一へと意識を戻す。かるたの取り方が変わった太一に、やりづらさを感じる須藤に対し、太一はかるたを通じて、前向きさ等の面でこうなりたいという願望を持ち、そうはなれない自分との見切りをつけ、勝つための計算を巡らせていた。

札を取りに行く間に、千早と周防の札の状況をみた太一は、お手付きを何度もしていなければなり得ない枚数差に驚かされる。そんな状況下に置かれても、千早は周防の特徴を思い出し、耳を澄ませてかるたを取り続ける。千早の様子を見ていた読手は、打ちのめされることが多い周防の対戦者の中で、戦意を失わない千早に注目していた。

結果は14枚差という大差になり、周防は千早のかるたに面白みを感じて大笑いをし、試合中に騒いだこと千早と周囲にそれぞれ謝るのだった。容姿も良い、友人や彼氏と言う人間関係にも恵まれ、かるたも強い、そんな千早がかるたでクイーンを目標にしていることに、周防は立ち上がり、いつもの小声で千早はクイーンには慣れないと断言して見せ、千早はその言葉に不穏なものを感じるのだった。

 

ここから感想

来週は15.5話と16話の2話構成…。総集編なのに新しい要素も加えるなんて、作り手さんたちも、これは入れたいというエピソードでもあるのかな。とにかく記事を作る時間が、いつもの週より掛かることは覚悟しなければいけないんだね。

で、新の告白事件については、太一は情報を得られないながらも、千早の様子から、新絡みで何かがあった事は察したようだ。さすがに告白を聞いていた奏や菫は、太一に情報を流せないから、太一の出遅れは仕方ないか。それでも千早が恋愛一本に思考を持っていけない子だと言う事を良い事に、一時しのぎ感はあるが、また一緒に行動する太一。これでいつもの青春かるたものに戻りつつあることに、ちょっとホッしてしまう。

確かに、恋愛要素が少ない本作の中では、先週と今週のかるた成分と恋愛成分の配分がおかしかった。そこに、周防の千早はクイーンになれないという断言は、恵まれた環境にいる千早が、一人で強くなることを強要された詩暢との対比に繋がってくれれば、かるた要素が強い本作に完全に戻る事になる。できれば自分は、かるた要素が強めでお願いしたいのだけど、そろそろ恋愛面は、決着を付けなくてはいけない辺りなのかしら。