はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

ハッピーシュガーライフ 感想

※ネタバレだらけ

作品の内容

松坂さとうは、育ての親である伯母が日ごろから口にする愛の形に憎悪し、また伯母とは違った愛の感情を知りたいと幼少のころから思い続けていた。整った容姿も相まって、高校生となった今では、愛を知るためだけに、不純異性交遊を繰り返すようになり、このことは、彼女の身体目当てに、さとうに愛の告白をする男子生徒が出るほど有名になっていた。

そんなさとうとが、ある日を境に男遊びをやめ、さらに好きな人ができて、現在一緒に住んでいると知った飛騨しょうこはとても驚くのだった。

しょうこに好きな人はどんな男なのかと冷やかされたさとうだが、彼女が好きになり、一緒に住んでいたのは、幼女・神戸しおであった。

しおは、元々兄・あさひと母・ゆうな、そして日常的に暴力を振るう父親と生活していたが、父親の暴力がまだ幼いしおに及ぶことを恐れたあさひの判断で、母娘だけで家を出て、隠れて暮らしていた。

父親に見つかることを恐れた母親は、しおが成長し歩行できるようになっても、家の外に出ることを拒み、次第に心を病んでしまう。

ふさぎこむ母親の様子に、母の心が割れてしまうと感じたしおは、あれこれと理由をつけて外出しようと提案する。この娘の提案に、自分の不調を自覚していたゆうなは、不安ながらも「手をつないで離さないこと」を条件に、久々に外出をするのだった。やっと外に出ることができたしおは、家の中には無かった、「母親の心を受け止められる新しい瓶」を見つけ、これなら母の心が壊れても大丈夫だと喜び、瓶に駆け寄ろうとした勢いで、ゆうなと繋いでいた手を放してしまった。

約束をした「手を繋ぐこと」を守れず、さらに車に轢かれそうになったしおを見て、ゆうなはしおを守ることに限界を感じてしまい、雨の降る日、人気のない路地にしおを残して立ち去ってしまった。

ゆうなが立ち去る際に言った「もうあなたはいらない」の言葉を聞いたしおは、自分が生きるために母親に生きていて欲しかったこと、それは愛ではなかったことを理解し、たまたま居合わせたさとうの心が空であるにもかかわらず、壊れてしまわないのは何かを信じているからではないのかと問いかけ、さとうの心に影響を与えたのだった。

あの雨の日以降、さとうとしおの生活は始まった。さとうはその生活の場に、伯母と住んでいた305号室ではなく、同じマンションの1208号室を選び、学校等からの公的な届け出とは違う住所に住むことで、さとうのストーカー・北埋川 大地の追跡や伯母と伯母目当てに集まる輩から、しおを遠ざけることも可能にしていた。

しおが、自分の意志でさとうと一緒にいることを知らなかったしおの兄・あさひは、しおと別れたゆうなが父親を殺害したことで、父を引き留める役目を終え、行方不明のしおを探してビラを配り歩いていた。

そんな彼は、さとうのバイト仲間である三ツ星太陽や、友人の飛騨しょうこ、さとう自身と出会い、徐々に、さとうがしおを閉じ込めている犯人だという確信を得ていく。

そんな、妹を必死に探しているあさひの様子を見ていたしょうこは、家族に嘘をつきながらバイトをして、男遊びをしていた自分を恥じ、あさひとしおを合わせたいと思い、さとうとしおが住む1208号室に乗り込み、さとうの説得を試みる。しかし、この事よりも以前に、さとうの隠し事を教えてもらうため、本当の親友になるための試練として、さとうの伯母を紹介され、その異質さからさとうを受け入れきれなかった事から、さとうはしょうこを見限っていた。そのため、しおの居場所を漏らすまいとするさとうに、しょうこは容赦なく刺殺されてしまう。

しょうことの連絡が取れなくなってしまったあさひは、さとうに使われて偽の情報を流しに来た三ツ星を脅し、逆にしおの居場所を探る様にさとうのいるマンションへ向かわせる。しかし三ツ星は、さとうがバイト先に届け出ていた305号室に忍び込み、出くわしたさとうの伯母に監禁されてしまい、錯乱状態であさひに助けを求める始末。この事から、あさひは三ツ星は使えないと判断し、しょうこが送ってくれたさとうとしおが映った画像の部屋番号を確認し、金属バットを持って乗り込む決意をする。

対して、しょうこを殺害してしまったさとうは、伯母を巻き込んで海外逃亡を計画し、とうとう出立の日を迎えた。しおと駅に着いたさとうは、しおと色違いで購入した大切な指輪を付けていないことに気づき、しおと共に1208号室まで取りに戻るのだった。

ちょうど、さとうとしおが二度目の出発をしようとした時、あさひが現れ、彼から逃げるために、さとうはエレベーターで上の階へと昇ることを選択する。しばらく階を上下することであさひをやり過ごしていたさとうだが、1208号室の元住人としょうこの遺体の証拠隠滅のために、さとうの伯母が12階に火を放ち、マンションの屋上に逃げざるを得なくなってしまう。

あさひは火災による壁の倒壊で、屋上に来られないが、他の降りる手段が無いため、逃げる場所が無くなってしまったさとうとしお。さとうはしおに、新しい家である二人のお城に行けなくなってしまったと話し、しおはそんなさとうに、母親に置いて行かれた時に、悲しさからもうどうでも良いと思い、さとうと出会い、暮らせるようになって、幸せだと感じることができたと語るのだった。

しおの「最後までさとうと一緒にいたいから、一緒に死のう」という提案に乗り、さとうはしおと共にマンションの屋上から身を投げるが、しおと出会って、愛を知ることができた喜びと、しおを想う気持ちから、しおを生かすために庇う体制取り落下したのだった。

後日、マンションの放火はニュースとなり、部屋の焼死体はしょうこと、転落死したのはさとうと判明し、放火による証拠隠滅に手を貸した伯母と、1208号室の元住人の死体処理を手伝わされた、さとうのストーカー・北埋川 大地が逮捕された。

病院でケガの手当てを受けているしおを見舞いにきたあさひは、退院したら母さんと三人で暮らそうとしおを誘うが、しおは自分の愛はしおの中に生きるさとうのためにあり、自分のために他人を愛することはもうしないと決めていたため、断られてしまう。さとうの事を想う時のしおは、愛を語るさとうを思わせ、あさひは持ってきた花束を取り落としてしまったのだった。

作品の感想

おおむね中心人物の名前が平仮名のため、「しょうこ」なんて「証拠」と何度も誤変換して、ギャグで命名してるのかと本気で思いたくなった。たぶん「さとう(砂糖)」「しお(塩)」「しょうこ(コショウ)」なのかな?

犯罪行為ありと知った時は、最後まで描き切れるのかと心配しながら視聴したが、思いのほか芯はブレること無く、最終回まで作品の個性を貫き通した感じを受けた。

ただ、同じ志向の作品が大量に出回るなら、やはり犯罪抑制のためにも良くないとも思う。同じ時期にアブノーマルな志向の作品が少なかった点でも、この作品は放送時期が良かったよね。作り手さん側でもこればかりはどうにもならないものね。

それにしても、世間一般からみて、特殊な家庭環境の子どもたちや特殊な大人たちの物語だったが、フィクションにしても珍しい、常識人が出てこない作品だったのが非常に印象深い。

結構話が通じそうな印象のしょうこにしても、親への反発心がありながら、さとうの本音が聞けない臆病さと、あさひを手伝いたいあまり、さとうに面と向かってしおを開放するように説得を試みる無謀さ等々、気持ちと行動のふり幅が大きいので、たとえ他の作品に放り込んでも、ボケキャラとしてキャラ立ち可能なレベルだと思う。なので常識人としてカウントできないのです。

タイトルに反して、バットエンドかつ、愛を語りながらも依存し合う形を否定する、トガッた本題を表現してくれた作品なので、存在意義はとてもあると思う。ただし、まだ自我がしっかりしていない人が見て、この作品の家庭崩壊等の暗い部分と自身の状況をを重ねて、作品の意図しない方向で影響を受けてしまわないかは、ちょっと心配。

あとは、見る人次第で作品の設定等の奥深さが決まると思うので、世の中にどう捉えられるかは未知数だね。

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