はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

色づく世界の明日から 感想

色づく世界の明日から Blu-ray BOX 1

作品の内容 母が家を出て行ってから、色を見ることができなくなった内気な少女月白瞳美は、友人も作らず、一人でも大丈夫だと自分に暗示という魔法をかけながら生活していた。 ある夏祭りの夜、祖母・琥珀に突然60年前の自分に会いに行きなさいと言われ、不安を口にする瞳に対し、琥珀はもう決まっていることだからと、術を発動させるのだった。 瞳美は、妙なバスから降り立った後、突然見覚えのない部屋へ放り出された。慌てて窓から外に飛び出すが、月白家に伝わる石をその部屋に落としていしまう。 一方、自分の部屋の窓から、女が出ていくところを近所中に見られ、彼女ができたと噂された部屋の主・葵唯翔は、美術部員でありながら部活動よりもバイトを優先し、それでも時間の合間に絵を書くような生活を送っていた。勝手に部屋に入り込んだ瞳美に対して、最初は不要侵入者と認識していたが、彼女が祖母の魔法で飛ばされて迷い込んだことを話したことで、誤解を解き、落としていった瞳美のイヤリングを彼女へ帰すのだった。 その時、瞳美は唯翔の描いていた絵に色がついていたため、その絵をまた見たいと思うが、うまく声をかけられず、尋問を受けたようだとへとへとになりながら月白家へと変えるのだった。 瞳美を過去へと送った17歳の琥珀が、ちょうど海外留学中だったため、彼女が戻ってくるまでの間に、瞳美は学校に編入し、タイムスリップ当日に、魔法屋までの道案内をしてくれたあさぎ達と再会する。モノクロ写真が撮れると聞いて、色が見えないことから興味を持った瞳美は、そのまま写真美術部へと入部。部員たちとの新入生部活体験等を通して、交流を深めていく。 琥珀が帰国して、瞳美とおなじ部活動に入部しさらに賑やかさを増した魔法写真美術部。瞳美も、苦手だった魔法を、編入初日に唯翔に褒められてから上達するために練習を重ね、その努力する姿を見ていた部長の山吹将は、瞳美の新しいことに立ち向かう姿勢に惹かれていくが、瞳美はそんな部長の告白に驚きつつも、気になる人がいるからと断るのだった。 そんな中、文化祭での部活の出し物に、瞳美の魔法を主軸にした、絵の中に入れる体験を選んだ魔法写真美術部。瞳美はさらに魔法の鍛錬を重ね、唯翔はそのための絵を描き上げる。試しに部員のみんなで絵の中に入ってみたが、その時唯翔は、瞳美と自分が以前見た、唯翔が書いた動く金色の魚を絵の世界の中で見つけたため、そちらについて行く。その先では、まだ幼い瞳美が、一人暗い部屋でモノクロのクレヨンで絵を描く姿があったのだった。 唯翔が、絵の世界の中での出来事を瞳美に話すと、瞳美は母が居なくなった事と、一人で決めて出て行ってしまった母に対してと、母を苦しめたかもしれない自分への後悔を語った。 文化祭の準備で学校内が飾り立てられるようになったころ、瞳美が時の間に閉じ込められかける現象がみられるようになり。琥珀は、次の新月の夜・文化祭最終日に瞳美を未来へ帰す儀式を行うことを決意し、唯翔達部員にも、星砂集めなどを手伝ってもらう様に依頼をするのだった。しかし瞳美は、せっかく仲間と、唯翔と出会えたこの時間から帰りたくないと唯翔に打ち明け、自分がこの時間にいる意味を見つけなければいけないと思うのだった。 文化祭の出し物は大盛況に終わり、その晩、瞳美を送る術の発動を待つ間に、魔法写真美術部の面々から送る言葉をもらった瞳美だが、唯翔に対して全てを伝えていないためか、術が暴走し、瞳美と唯翔は幻の中に入り込んでしまう。何とかあの幼い瞳美がいた、暗い部屋で出会うことができた二人は、お互いが影響を与え合い、変わっていこうと考えられたことへ感謝の想いを伝えることができるのだった。 幻から帰ってきた瞳美は色が見えるようになった状態で、皆に見送られながら未来へ帰る事ができた。 無事に祖母・琥珀の元へ帰ってきた瞳は、楽しかったことや辛いと感じたことを琥珀へ話し、それでも幸せだったと言い切って笑うのだった。 琥珀は、瞳美の母の事を幸せにすることができなかったと謝り、そんな琥珀に、瞳美は、一緒に母を探してほしいと提案する。すっかり変わった瞳美をみて、琥珀は思わず泣いてしまうのだった。 その後、魔法屋に泊まることになった瞳美は、魔法写真美術部からのタイムカプセルを受け取り、さらに、幼い瞳美が昔読んでいた、色を見ることができる絵本は、唯翔が文と絵を描いた、魔法写真美術部の部員を模した動物が登場する作品だった。 誰かの墓参りを行った瞳美は、学校でも友人を作り、未来でも写真美術部に参加し、魔法屋の手伝いなども行う姿が描かれ、色にあふれた世界に生きるのだった。 作品の感想 久々に見る突っ込みどころ満載の作品だった。 まず、色が見えないという「現実にもある身体機能の障害」を扱うなら、もっと気を使っていただきたかった。実際に、色が認識できないと、「日が落ちたら道と植え込みの区別がつかないため歩けない(または危ない)」「色の識別ができないため、文字で表示していないボタン操作等が行えない」という行動上の制限が増えてくるので、主人公のように人に言わずに生活をすることはとても危険なのだ。それでも、作品に取り入れるなら、それなりに作り手が勉強をして、危機意識を表現をしなければならない。それが、身体的な制約がある主人公を描く責任だと、私は思う。 この事とは別に、作品の内容についても、思うところがいくつかある。 見ているうちに、「自分の可能性を信じてほしい」というメッセージが前面に出ているため、ついうっかり、琥珀が瞳美を送った理由が、内気すぎる孫娘を心配した祖母が、「ちょっと過去に行って、もまれてきなさい」って感じで送り出していたのかと錯覚していたが、何のことはない、過去に送れば瞳美が成長して帰ってくることが全部分かっていて送り込んでいるじゃないか。しかも、過去に自分がその状態を見てきているから、瞳美の身の安全も確信していると…。冒険も何もない、決まっていることだから時間魔法の勉強をして、孫娘を送り出すって、祖母として傲慢じゃないか? さらに、なぜ琥珀は、自分の娘が魔法を使えないことを苦にして、孫娘・瞳美をおいて家を出たことを知りながら、未来でも同じ過ちを繰り返し、結果として自己肯定感の低い瞳美を生み出しているのか、疑問だ。瞳美を過去に送る未来が変わってしまうから娘の件は知っている通りの結末にしたのか?そもそも琥珀は、瞳美から母親の件を聞いていなかったのか…いずれにしても、孫娘がタイムスリップしたことをきっかけにした「瞳美と琥珀たち祖父母世代の良い思い出」のために、琥珀の娘をないがしろにし過ぎではないだろうか。できることなら、自分の娘の苦悩を受け止めて守り切れなかった琥珀について、もう少し時間を割いて描いてくれれば、この点の疑問は解消されたと思う。もったいない。 で、瞳美の母は救われない前提に成り立っている物語だと考えると、いくら若者が進路や恋に悩み、決断と挑戦を行った青春の1ページを綺麗に描けたとしても、手放しで納得や感動することができない。 さらに悪いことに、描写の端々が明確に表現されず、視聴者の判断に任されることが多い。一番わかりやすいのは、最終話の瞳美が手を合わせていたお墓。誰のものかを明確に表現しないため、唯翔達の部員の内の誰かはもう他界しているのか、それとも60年前にお世話になった琥珀の父母と祖母のものなのかによって、今後の瞳美が再会する人が変わってくるはずなのに、作中で60年前の魔法写真美術部の部員との再会を描かないため、お墓の主も表現しなくて良しとしたのか、謎にしなくて良いものまで謎のまま終わってしまうなんて、本当に何を表現したかったのかわからない作品だった。 にほんブログ村 アニメブログへ