はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

やがて君になる 感想

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※ネタバレあり 作品の内容 書店の娘である小糸侑は、マンガや歌詞に出てくるような、キラキラと眩しい「恋」という感情に憧れていた。しかし、中学校の卒業式の日に、仲の良かった男子から告白された侑は、その子に特別な感情を持つことができず、自分は特別に思う気持ちが分からないと悩むのだった。 そんな悩みを引きずりつつ、高校での部活動もそろそろ決めなくてはならない時期に差し掛かったある日、侑は、教師に勧められて、選挙前で忙しい生徒会の手伝いをすることになる。 何度か生徒会の仕事をこなしたある日、二年生で生徒会メンバーの七海燈子がまた告白を受けた話になり、燈子が全て断っている理由に「いくら告白を受けてもドキドキしない」と言ったことに、侑は燈子なら自分の悩みを理解してくれるのでは思い、相談をしてみようかと思案するのだった。しかし、何と話すかを迷っている間に、逆に燈子によって話すように促され、告白されたこと、断ること、特別な気持ちが分からないことを話すのだった。 侑から相談を受けた燈子は、侑が誰の事も特別に思わない事を知り、そんな侑を好きになりそうだと突然侑に告白する。 その後も、燈子の侑へのアプローチは続き、燈子が生徒会長に立候補する生徒会選挙の推薦責任者になった侑は、全校生徒の前での演説会に頭を悩ませていた。一方、侑が引き受けた推薦責任者になるつもりであった佐伯沙弥香は、燈子は自分よりも侑との信頼関係を築きたいのかと拗ねてしまう。そんな沙弥華に、燈子は、自分たちはもうすでに十分信頼し合える仲だといって宥めるのだった。この事を聞き、少し余裕を持つことができた沙弥香は、侑に代表演説用に作っていた原稿を渡し、二人の仲が縮まることを許すのだった。 演説会当日、一人で立ち去る燈子の様子が気になったついて行った侑は、燈子が実は震えるほど緊張し、無理をして完璧な人間を演じている事に気がついてしまう。沙弥香たちに相談するように提案する侑に対し、燈子は昔の自分の話をし、そして努力して完璧な人間を演じることができるようになったこと、それをこれからも続けて、自分に対する信頼も手放したくないことを語る。そんな弱みを見せる燈子に、侑はすでに燈子が完璧でないことに気づいていたと話し、何でもないと言い切って見せるのだった。そんな侑に甘え、侑の肩に頭を乗せる燈子を見て、燈子が何故自分を好きだと言ったのかを理解した侑は、それでも燈子の頭を撫でて許すことにするのだった。 燈子に必要とされるのならと、正式な生徒会メンバーになった侑は、体育祭の準備や文化祭での生徒会劇の復活といった仕事で忙しい日々を送りつつ、燈子との距離を保ったまま関係を維持することに気を遣うのだった。 生徒会劇の台本選びの時に、オリジナルの話を用意したい燈子と沙弥香の話を聞いた侑は、とっさに小説を書いている友人・叶こよみを思い浮かべたが、また燈子が無理をして完璧にこなすことが気がかりだったため、心当たりがないと嘘を言ってしまう。このことを見抜いていた沙弥香は、今まで通り自分が燈子を支えるから、侑が心配する必要はないと、侑をけん制のだった。 燈子が完璧な人間を演じることにこだわる理由は、七年前の生徒会劇にあると沙弥香から聞いた侑は、調べ廻った末、姉の友人から七年前の生徒会長が燈子の姉であること、教師から既に亡くなっている事を聞き、姉と同じになろうと努力していたことを知る。 燈子が無理をして姉の様になることを、沙弥香は燈子が選んだこととして支えることを選んだが、侑はやめるように燈子に提案した。それは、燈子が好きだと言っている自分の言う事なら、受け入れてくれるだろうとの考えからだったが、燈子の答えは、侑には甘えたいが、作り上げた特別な自分は捨てられないと拒絶し、侑が居なくても劇はやると言われてしまう。燈子は、本当の弱い燈子を好きになりたいと思っていたため、これからも一緒にいるために「燈子も誰も好きにならない」と宣言するのだった。 体育祭も間近になり、部活対抗リレーの練習をする生徒会メンバー。しかし、どうしても侑から沙弥香へのバトンパスが上手くいかない。燈子に二人で練習するようにと課題を出されるが、沙弥香は真面目にやることではないと、練習には乗り気ではなかった。しかし、二人の間の空気が悪いのは確かなため、侑は沙弥香を食事に誘い出し、燈子の話題を振り、考えは異なるものの、同感できる部分があることを感じ取るのだった。 何とか体育祭も無事に終わり、夏休み前にこよみが生徒会劇の原稿を書き上げた。その内容は、記憶喪失の少女が、家族・友人・恋人の視点から聞いた過去の自分について考え、どの自分になるのかを選択する物語。それはまるで燈子が姉のようになることを選んだ様子と重なり、燈子に本当の自分になってもらいたい侑にとっては、どうしても、主人公の最後の選択が納得出来ない内容であった。 夏休みの合宿では、こよみが書き上げた内容のまま、練習が行われ、演技の指導に来た市ヶ谷知雪が七年前の生徒会メンバーだと知った燈子は、姉がどんな人だったかを、答え合わせをするかのように知雪に尋ねるのが、知雪が知っていた燈子の姉は、燈子が見てきた完璧な姿ではなく、宿題が終わらずに生徒会メンバーに頼ったりする、年相応の女の子なのであった。 自分が目指す姉の人間像があやふやになってしまった燈子は、役に感情移入しすぎてしまったりと、劇の台本としては良い出来栄えなのに対し、台本を書き上げたこよみも、結末には言葉に表せない違和感を感じていた。しかいいくら考えてもその理由がうまく言葉に出せないまま、合宿は終わってしまうのだった。 合宿の後、燈子の様子がおかしいと感じた侑は、燈子を自宅へ上げ、その理由が姉の人物像が揺らいでしまったことだと聞くのだった。姉のように完璧な人間を演じることをやめたらどうかと、また提案する侑に対し、燈子は本当の自分自身が嫌いなのだと明かし、そんな嫌いな自分を好きだと言ってほしくないから、燈子の事を好きだという人を好きになることはできないと、侑の意見は聞く耳を持たないのだった。 燈子を好きになりたい侑は、あまりにも我儘な燈子の告白に対し、生徒会劇の結末を変えることによって仕返しを企てた。こよみも、「観客は記憶を失くした状態の主人公しか知らない」「主人公が選ぶのは、劇前の過去の自分でしかなく、劇自体の意味が無いみたいだ」という侑の意見に、感じていた違和感の答えを見つけ出し、劇の結末を変えるために、台本の辻褄を合わせる作業に取り掛かるのだった。 そんな作業の中、侑は燈子を水族館へ誘い、思い切り楽しく遊ぶのだった。そんな時間がずっと続けば良いと思う燈子に対し、侑は、ショーまでの時間に劇の練習をしないかと持ち掛け、劇の中のセリフを変えながら、「誰かになることを選ばなくても良い」「自分は今の燈子しか知らないが、知り合ってからの好みなどは知っている」と、やはり本当の燈子となってほしいことを伝えるのだった。この事から、水族館を満喫した侑は、こよみに頼まれていた生徒会劇のタイトル案「君しか知らない」を提案し、隣で眠ってしまった燈子を乗り換えだと、そっと起こすのだった。 作品の感想 久しぶりに本気の百合ものだった気がする。 内容に、完全に唯と燈子を観察して楽しんでいる槙聖司を入れきれなかったのだけど、二期をやった場合、彼が結構なポイントになると思うのだが、最終話までは特に動きが無かったな。観察者だから別に干渉してこなくて良いのだけど…どうなるのだろう。 にしても、どこまでも自分勝手な理由で、周囲に好きだとか信頼しているとか言ってくれる燈子を考えた作り手さん、すごいな。ここまで徹底した我儘末っ子での恋愛ものは、自分は見た覚えが無いので特に新鮮に感じる。普通は「実は末っ子も空気が読めて、相手が自分を好きな気持ちも受け入れてくれる」とか、そういった手のひら返しが見られて、見ているこちらも、「ああこれは、作り手が我を張るキャラクターに折れてもらったって話を進めたな」って部分が見えたりするのだけど、今のところ燈子にはそれが無い。このまま、好きだと言いつつ、闘うような駆け引きを二期があればぜひ見続けたい。 にほんブログ村 アニメブログへ