はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

フルーツバスケット 第5話「勘違いをしていました」感想

透が出ていく前日から翌日昼頃まで紫呉が読んでいた鯨峡新聞を細かく見てみて、ああ確かに、あそこら辺の位置にはこんな感じの広告あるよなと、妙に納得してしまった。結構ちゃんと書いてあるものだよね。
でも、一面の見出しが「NYで入浴」「辛すぎるカレー問題」とか、つまらないおやじギャグになっているのとかまで確認すると、紫呉がこの新聞を読むことで、ペンネーム変えてまでくだらない話を作り上げようとする、その創作意欲の原泉に新聞記事がなっているのかと思うと、妙に信用できない情報媒体に思えてきた…。なんだよ、紫呉が見ていた面の「3メートルのウーパールーパー」って、その隣の「老舗の駄菓子屋閉店」とかの真面目な話で全面埋めて見せろよ。つか、紫呉もいつまでも同じ新聞読むな。

今週の内容
外壁はまだだが、改築が終了し住めるようにはなったから戻っておいで、という祖父の電話を受け取り、当初の約束通り紫呉に家を出ていくという趣旨の話をする透。しかし最後まで要件を言い切ることができず、気を使って外食にでも行こうという紫呉の提案を断って、台所に逃げるように向かってしまうのだった。
母・今日子が生きていた時のことを思い出す透。その時、透は熱を出していたが、熱もだいぶ下がり、母親が頑張っているのに自分が寝ているわけにはいかないと食事の用意をしていたところ、今日子が帰宅し、そんな透を抱きしめ、「たまにはめげたって、我儘を言ったって良いんだよ」と言ったのだった。
沸かしていたやかんが笛の音を立てていたため、昔の思い出に浸っていた透は慌てて火を消し、新しいお爺さんの家だって良いところかもしれないと気を取り直し、テント暮らしに比べれば天国みたいなものだと気合を入れるのだった。
透が祖父の家に戻る前日、食材の在庫や、ゴミ出しの日など、色々と伝えておきたい事柄を述べ、祖父の家の住所を書いたメモを紫呉に渡す透。草摩の秘密は袴でもっていくと改めて約束する透に、紫呉も色々と世話になった事の礼と、新しい家でも頑張るようにと励ましの言葉を贈る。透が部屋の片づけを行いに二階に上がった後、居間に残った紫呉は、同席していた由希と夾に透が出ていくのを止めるのかと思ったと話し掛けるが、二人の返事は「もともと改築が終わるまでという約束だった」「他人のアイツがこの家にいることの方がおかしかった」というもので、ならなぜ空気が重いのかと、紫呉は大きくため息をつくのだった。
二階では、透が母・今日子の遺影に向かい、家族になれるわけがないのに勘違いをしていたと、自分の思い上がりを恥じていた。昔から自分は抜けていたのだと思い出すのが、学校で行われたレクリエーションでのフルーツバスケット。次々と各フルーツに分けられていくクラスメイト達だが、男の子のいじわるでおにぎりと言われてしまった当時の透は、いじわるだとは気づかずに、ひたすら呼ばれることを楽しみに待っていたのだと振り返るのだった。
おにぎりが仲間に入れるはずが無かったのだと、今の自分にも当てはめ、祖父の家に戻る透。
透が居なくなった後の紫呉の家では、透の書置きを眺めながらあっさりとした別れになったとつぶやく紫呉。由希は透が好きだと言っていたイチゴを植えた家庭菜園に向かい、夾は屋根に上がり猫年になりたかったという透の話を思い返すのだった。そして由希と夾は、透のいた食卓の様子を思い出し、な
祖父の家で、借りてきた本を眺めながら、紫呉の家を出る時に一言くらい挨拶した方が良かったかと思う透だが、従姉が迷惑そうに片付けは終わったかと部屋に入ってきたため、草摩の家の事で思いをはせるのをやめ、あくまでも謝る透。しかし従姉の不満は収まらない様で、大きな家に引っ越したのに、部屋を共有しなくてはいけないのかと文句を言われてしまうのだった。
祖父に話があるようだからと呼ばれた透は、リビングまで出向き、叔母から興信所で調べてもらい、今まで男の人の家にいたことを咎められる。従姉は絶対に自分の方が異性関係は進んでいると思ったと言われつつも、何故手間をかけて興信所に調べてもらったのかと尋ねる透。叔母は自分の息子が警察官志望であることと、身内に前科がつく人間が居る事は困るのだと話し、透の母・今日子が昔は相当荒れていたため、娘の透の事も同じようなものだと暗に決めつけ、息子の就職のために調べたのだと言う叔母に続き、従兄も、透に今まで住んでいた家の男たちにいかがわしことをされなかったかと、迫るのだった。
透が、自分はおろか紫呉や由希、夾までもを侮辱する物言いに耐えていたところ、祖父が従兄を張り手で叩き、娘と孫達へ、侮辱する事しか知らんのかと叱り、透には謝罪と、根が嫌な奴らなのだとフォローにならない言い回しでその場の流れを変えるのだった。
そのまま家族のフォローなどはせず、透の母・今日子は両手を広げられる場所で過ごした方が生き生きすると、生前の透の父・勝也も言っていたのだと、自分の息子の話を出した祖父に、思い出の少ない父親も母の事を想っていたことを知る透。しかし祖父は、そんな今日子にとって、大切な家族ではない者に嫌みを言われながら我慢し過ごすことは不憫だと思い、もし他に行きたいところがあるのなら、言っても良いのだと提案する。
その言葉を聞き、母親に愛され、友人がおり、草摩の家に迎え入れてもらい、さらに屋根のある家に住めることは恵まれているのだと話す透だが、紫呉の家を出たことの寂しさや、由希や夾との思い出や二人をもっと知りたいという思いが募り、帰りたいと泣きだす透。そこへ由希が現れ、帰っておいでよと声を掛けられた透は驚くのだった。
透が出ていった紫呉の家では、透が置いて行った祖父の家の住所が書かれたメモをテーブルに出しっぱなしにして、いつも通り居間で新聞を読む紫呉と由希に対し、縁側を行ったり来たりして落ち着かない夾。気が散るからと、夾に外に出る様にきつく言う由希に夾が突っかかり、いつもの殴り合いの喧嘩に発展しそうになる二人。そこへ紫呉が落ち着くように口を挟んだため、夾は縁側にふてくされた様に横になり、本をテーブルに置いた由希は、夾も紫呉もこちらに視線を送っていないことを確認した上で、透のメモを取り上げ、散歩に行ってくると一言伝えて出かける。由希が居なくなったのを見計らったように、今度は夾が居間に入り、周りを気にしながら戸棚の中身を物色し始めたため、紫呉が声を掛けるが、探しているのは爪切りだと答えた夾に、紫呉はわざとらしく透のメモなら由希が持って出たと伝えるのだった。すぐに由希を追いかけていく夾に、紫呉は含みのある笑いをするのだった。
住所だけでは見当がつかないと、独り言を言いながら警察で道を聞こうとする由希だが、途中で夾も合流し、言い合いをしながらも表札を確認して周る二人。このブロックのはずだとつぶやく由希に、改築したてでピカピカな透の祖父の家にもかかわらず、探してもそれらしい家が無いのはおかしいと大声で突っかかる夾に、由希は透が言っていた「外壁がまだだけど、住めるようになった」という言葉を思い出し、足場で覆われた家の表札を確認し、その家が探していた田中家であることを突き留める。
とりあえず透と話がしたい二人は、迷わず玄関まで近づき、由希がノックをするがおそらく小さすぎて聞こえず、夾が大声で「たのもー」と言った瞬間、中の声が聞こえることに気付いた由希に口をふさがれ倒れこんでしまう夾。
声の聞こえる方向へ近づく由希と夾だが、透が侮辱されている会話を耳にし、思わず飛び出そうとする。しかしすぐに祖父が透を守るように従兄を叩いて叱ったために思いとどまり、それでもすぐに透を連れ返そうと動き出す夾を、由希は透がどうしたいかで決めなければいけないと止めるのだった。
透が紫呉の家に帰りたいと発言したのを聞き、窓から入った由希。そして遅れて家に入ってきた夾は透を連れて玄関から家を出て行くのだった。
突然の侵入者に反応しきれない叔母と、由希の綺麗な顔に見惚れてしまった従兄。しかし、由希が透を迎えに来たのだと名乗ったため、見惚れていた相手が透と同棲していた男だと気づき、そのことを声に出してしまう従兄に、気安く「透ちゃん」呼ばわりするなと、デコピンを食らわせて腐期間を隠そうともしない由希。
夾に連れられ、家の外の通りまで出てきた透は、なぜここに来たのかと夾に尋ねるが、自分で住所を置いていったのだろうと言われ、そのメモの分かりづらさのために仲の悪い由希と探し回らなければならなかった事や、透が居なくなった後は理由の分からないイライラ感を感じていたことを続けて喋る夾。そんな夾に、それでも迎えに来てくれたのかと状況を整理していた透だが、夾が言い放った「出ていきたくなかったのなら、始めからそう言え」という言葉に、何故知っているのかと恥ずかしがることになるのだった。
全部聞こえていたという夾に、帰りたいと泣いたことはバレているのかと顔を伏せる透だが、夾は我儘を言っても良いんじゃないかと続け、毎日じゃ頭にくるが、たまには我儘言ったって弱音を吐いたって良いという言葉に、母・今日子の言葉を思い出した透は、泣きながら紫呉の家へ帰りたいと、本心を話すのだった。
透の荷物を回収した由希も本田家から出て、3人で手を繋いで帰ることになった透は、自分は果報者だと嬉しそうに心の中で母に報告し、騒動の後の本田家では疲れ果てた叔母と、由希が男であることにショックを受ける従兄をそのままに、窓の外を眺めながら透が元気でいられるようにと願う祖父の姿があるのだった。
紫呉の家に戻り、紫呉はお姫様強奪の成功おめでとうと玄関で出迎えるのだった。戻ってきてしまいましたとバツが悪そうに申し出る透に、紫呉は後の問題は任せなさいと、透が戻ってきたことを喜ぶ。
透は、紫呉の申し出に恐縮するが、紫呉は元に戻ってくれれば良いと話し、ついでに由希の取り乱し様を語りおちょくるのだった。取り乱していたかと少し恥ずかしそうに言い返す由希に、さらに未練たらたらな顔だったと夾が乗っかったため、やはり二人は喧嘩になり、その騒ぎを呆れた様に見ながら、紫呉はこんな家だけどよろしくと、透を改めて迎え入れ、透も新しい家族達によろしくと挨拶するのだった。

ここから感想
まぁ、原作を忠実にやれとか、アニメ前作より面白くしろとか、そう言った気持ちを前面に出してやっていたら、業界自体をダメにすることは重々理解しているつもりなのだけど、わざわざ前世紀にやっていたものを、今また掘り起こして作り直しするのなら、せめて手を加えられる部分は、今の考え方に寄り添えるようにするべきではないだろうか。
今回の話は特に著明で、由希と夾の田中家不法侵入の経緯は、窓が開いていたという理由付けをしてくれているのに、叔母さんについてはむしろ、原作とアニメの前作にあった大皿のシーンを削っているにもかかわらず、なにも改善されていなかったのには、正直ショックだ。
叔母さんの立ち位置は、祖父が居るとはいえあの状態では重要で。両親親戚がほとんど出ないアニメが多い中、興信所の話まで出して、主人公に突っ込むあの叔母さんが、自分の子どもより年下とはいえ、他人が家に上がり込んで、預かっている親戚の子を連れ出そうとしている事に、もっと大人・親としての対応をしている部分を表現して見せてほしかった。なぜその部分を割愛してしまったのか。原作者と編集者で考えるマンガとは違い、アニメは関わる人間が大勢いるのだから、表現方法に立ち向かっても良いと思う。この現象は他の作品にも言えるが、この作品は今後も、「世間的に大人が対応しなければならない部分」が多々あるため、たとえ「大人が乗り越えられない部分を子どもたちが乗り越え、その成長を見た大人も見習って進んでいく」という見せ場が多いい本作品であっても、大人が対応する場所は今後もあるのだから、原作を理由にして、手を加えずに表現しないでいただきたかった。それが如実に表れる話だっただけに、残念。
叔母さん、大皿のシーンさえあれば、自分の家の文化しか目が行き届かない視野の狭い人だって表現できたのにな。さらにそこから、半年ほど前の今日子の葬儀の時には透の身元引受を拒否しながらも、透の高校卒業まで待てずにおじいさんとの同居を決める人なんだから、その場限りの考えで生きている人なんだろうなと想像できるし。さらに透の祖父に対して、叔母さんにとっての実父か義父かは不明だが、孫目線の「おじいさん」と呼んでいる時点で、自分の子どもを中心に子育て生活を送っているのだろうと推測できる。そうすると、じゃあそんな大切な娘息子がいる空間に、無断で入ってきた夾や由希に、何故攻撃態勢を取らないのか、表現しないのか、逆に不自然だと思うのだけど、違うだろうか。
アニメ前作とだいたい同じペースで進めるのなら、ギャグが少ない分、時代に合わせた表現にチャレンジしていただきたい。