はちよりうえ

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この音とまれ! 第18話「それぞれの決意」 感想

 堂島家によるさとわへの攻撃が始まったね。にしても、指導する立場でさとわを追い詰めるのって、確かな技術とメンタル破壊のテクニックが無いとできない芸当を、何故堂島の婆さんは孫にやらせようと思ったんだ?

 

作品の内容

自分が中学時代に作曲した曲に、感情を乗せるためにもタイトルを付けるように言われたさとわ。この曲を聞いた後に笑ってほしい、というさとわ本人の願いから、彼女は部員7人の笑顔を想像し、虹をイメージした「天弓」の案を出す。

タイトル案を受け取った顧問の滝浪は、字だけを変えて「天泣」とし、澄み切った空から降る雨を連想したことをさとわに説明して、泣くと言っても悲しさから泣くだけでは無い点を指摘する。滝浪が自分の曲を理解している事に、さとわは嬉しそうに笑って返し、タイトルは「天泣」に決定する。

さとわが帰った後で、滝浪は筝曲部の指導で足りないものを、どうやって補てんするかを考えていた。そこへ校長が声を掛け、滝浪は校長に呼ばれる理由が分からずにいた。

2年の教室では席替えが行われ、武蔵と妃呂は前後の席で近くなり、そのことに武蔵は四六時中一緒になってしまって申し訳ないと、妃呂に挨拶するが、武蔵への想いを力に変えることを決心していた妃呂は、内心で大喜びし、部活をより一層頑張ると改めて誓っていた。

校長室では、校長と滝浪を相手に、堂嶋とその孫の晶が、家元の娘であるさとわの力になりたいと申し出ていた。

部活の時間になり、曲のタイトルが「天泣」に決定したことを武蔵と妃呂に伝えたさとわ。そこへ顔を出した滝浪は、自分も予想しなかった状況に、手を首に宛てるという、少々困ったそぶりをしつつ、鳳月会の堂島晶を部室に案内する。

晶の姿を見たとたんに、言葉を途切れさせたさとわの様子と、晶の素性を知った武蔵と妃呂は動揺し、特に妃呂は鳳月会を破門されているさとわへの、当てつけか何かだと理解し、滝浪にどうしてそんな人を案内したのかと食って掛かるのだった。

妃呂が滝浪の襟をつかんで抗議していると、部室までの競争をしていた愛と三バカが到着し、勢い余って滝浪を巻き込んで部室入り口でドミノ倒しになってしまう。見事なドミノ倒しに大笑いしていた愛だったが、その様子を見た晶の視線を感じ、笑うのをやめていた。

晶は愛たちを琴をする部員だと滝浪に紹介され、冗談だろうと言葉を返す。滝浪も笑顔で本気で筝曲部の部員だと返し、愛たちに琴の指導をしてくれる先生だと、晶を紹介する。

出会い頭から不穏な空気を漂わせる晶に、さらに妃呂が苛立ちながら鳳月会から来たことを付け足し、さすがに武蔵もこの状況になる経緯を知りたいと、指導は滝浪がしてくれるのではなかったかと質問する。

滝浪は音楽的な指導を、晶は筝の専門的な技術の指導を行うと説明され、愛もさとわがいると言葉を挟む。しかし滝浪は、奏者と指導者の二役はさとわへの負担だと切り捨てるのだった。

琴を専門的に指導してくれる人は、筝曲部に必要だと考えていたのは、さとわも同じだった。しかしよりにもよって堂島晶であることは無いと、彼女を遠ざけたい存在だと認識していたさとわは、部への悪影響を考えてしまう。そんなさとわに、滝浪は大丈夫だから心配しなくて良いと言葉をかけ、その日の練習が始まるのだった。

晶に楽譜を渡し、その曲が自分が聞いたさとわの曲だと知った晶は、暗い目で譜面を見つめる。彼女の雰囲気が変わったことに滝浪も気づくが、声を掛けることはしなかった。

その日の練習を、実力を見定めるという名目で見学していた晶は、その感想をレベルが低くてがっかりしたと話し、琴の指導を行ってきたさとわにもその評価を及ばせていた。晶の物言いに部室の空気は一気に悪くなり、いつもは人懐っこい光太が、さとわよりも琴が上手いのかと晶に食って掛かる。

生徒たちの反感を買っても、動じることなく自分の実力を、さとわが失格した全国筝曲コンクールで一位を取ったと答える晶。そして、その日の学校での練習は終わりとなった。

仁科楽器に移動して、部活後の練習をするさとわたち。晶が気にくわない、嫌いだと騒ぐ光太と妃呂。特に妃呂は以前の自分の様に部を壊す気でいると興奮気味だったため、武蔵がなだめに入るのだった。

しかし、確かにコンクールの優勝曲は「水の変体」で、曲の難しさと、コンクール自体が実力者がいなければ1位を選ばない厳しさから、晶の実力は確かなものだと、仁科楽器の婆さん・静音が付け加える。

技術を習得するという点を考えれば、晶に指導してもらうのは良い事だろうと考えたさとわだが、それでも晶の指導によって他の部員の笑顔が消える可能性を捨てきれず、不安を感じていた。そこへ、さとわの意思で嫌と言っても良いと、妃呂はさとわの肩に手を置いて話しかける。彼女の言葉を聞き、「分からないなら言えば良い」と教えられた時を思い出し、いつも助けてもらっていることを思い出したさとわは、今度の大会が武蔵と妃呂と共に全国に行ける最後のチャンスだからと、晶の指導を受けようと切り出す。

さとわが決心し、晶を利用するだけ利用しようと話した結果、武蔵が一度指導を受けようと場をまとめる。その場にいなかった愛にも、この話をしなければと、練習室に呼びに行ったサネは、一人寂しそうに琴に向き合う愛を見て、自分も一緒に十七弦の練習を始めたのだった。

一方、祖母にさとわの所属する部活動の様子を報告する晶。さとわが跡取りとして舞い戻ってくることを危惧する祖母に、晶は指示に従いつつも、誰もいない場所ではくだらないとこぼすのだった。

晶による指導が始まり、一音の音の出し方から、連続、合わせ爪の変形、すくい爪と、今更と思うような基本から指導される愛たち。さとわも初心に帰るという名目で共に参加するが、部員達の音が汚いと、晶はひとつずつ手を変えては指摘し、自分も手本を示しながら進めていく。

弾き方や、音の違いが出る原因を言葉にされ、愛は自分ができていない事を自覚し、晶の手本を近くで見ようと彼女の近くに正座する。もう一度手本を見せて欲しいと、彼女の指摘通りに敬語で教えを乞う愛に、部員たちに衝撃が走るが、愛の行動に驚いたのは晶も同じであった。

どの手においても、各指の音量が異なっているため、粒だった音を出す事が出来ない部員達を見て、晶は基本ができていないことを指摘し、曲の練習に入る以前の力量だと、基本練習を行う様に指示をする。

その日の部活の時間が終わり、いつものように仁科楽器での練習を行おうと移動する愛たち。その道中で、晶に言われた通りに敬語を使った愛に、どうして素直に従ったのかと怒りを募らせていた妃呂は、とうとう愛に、直接その想いをぶつける。すると愛は、妃呂や光太が怒っていた部やさとわの事を馬鹿にされた事について、全て自分たちの力不足が原因だとし、自分は上手くなりたいから、晶の指導は受け入れるのだと返す。

この言葉を聞いたサネは、一番悔しいのは愛だろうと付け加え、晶に言われたことに対して怒りを募らせていた妃呂は、まず自分がやるべきことがあったと反省し、自分で頬を叩いて、愛の姿勢を見習おうと、気持ちを切り替える。

その夜、家に戻った晶は全国筝曲コンクールの優勝の盾を暗い目で眺めていた。

次の部活の日、愛は早めに来て練習を始めていたが、次に来たさとわから見ると、琴を弾く手の形が悪く、彼女はつい口を出し、手本を見せようと動いてしまう。自分を教えた分だけ、さとわの練習時間を削っているのだと滝浪に言われた愛は、さとわに自分の練習をするように言うが、さとわは部員達に教えることは苦では無いと、愛のネクタイを引っ張って主張する。

さとわの押しに負ける形で、基本の弾き方を見せてもらった愛は、さとわの琴の音に好感を持ち、彼女の様な音を出したいと強く思うのだった。

サネ達三バカも、さとわの手本を見たいと騒ぎながら部室に入ってきて、部室の中はいつもの雰囲気に戻っている事に、最後に妃呂と共に到着した武蔵は安心する。

妃呂は、晶の事で一番苛立っていたのは自分だろうと、晶を利用すると言ったさとわや、いつも通りに振舞う愛や三バカ達を見て、再び反省する。しかし、さとわの事を第一に考えて心配する妃呂がいたからこそ、武蔵は晶の指導を受けようと言う気になれたのだと、彼女のフォローをする。

晶の存在をどう受け入れるのか、自分たちには何が不足しているのかと考えた愛たちは、武蔵の提案で基本練習の方法を、コンクール用の曲に合わせてアレンジを加えることにする。

指導の日、アレンジを加えた基本練習を見た晶は、基本を疎かにして応用に進むなと、注意して愛たちの練習のために手拍子を撃っていたさとわを止める。また空気が悪くなる部室内だが、愛が、晶が手本で示した基本の手を粒だった音で弾き、基本を疎かにしている気は無いと言葉を返す。サネが悔しがるほどに、愛の音はきれいに整っており、滝浪もコンクールが近い事を理由に、基本と曲の練習の両方を進めるように晶に頼むのだった。

曲の練習をパートごとに見ていくため、それまでは個人で練習するように指示した晶は、さとわに指導の必要はないだろうと確認を取る。晶の予測に反して、さとわは出来れば指導をしてもらいたいと返答し、さとわ自身が失格を受けたコンクールで、晶が「水の変体」で優勝した件を持ち出し、晶の琴の腕前を評価したさとわ。すると晶はさとわの前に座り、今回は何故「天泣」を選んだのかと質問する。

自分の質問に、曲に向き合えるようになったと答えたさとわの言葉を聞き、晶の中でコンクールで優勝し、その後部屋で暴れて泣きわめいた暗い記憶がよみがえっていた。そんな晶に、今度はさとわが、何故無償で週に二日も指導をすることになったのかを訪ねたため、晶はさとわが破門されてもなお、琴を続けているこの場所の価値を知りたいのだと、暗い目を隠すことなくさとわに向けていた。

 

ここから感想

さすが、この作品は展開が早いよ。

晶が部の指導に来ることになったアバン。さとわによる晶を存分に利用しましょう発言がAパート。指導を二回受けて、晶の実力は認めて、さらに自分たちなりのあがきを見せたBパート…ってどんどん先に進んでいくのに、物事は積み重ねられているのは、本当に安心して観ていられる。

で、顧問の滝浪があれだけ機能していると、曲のイメージは早く固まるし、外部の指導者が入った時も、その指導者に指示を出す事が出来る。ここにきて、滝浪の存在が大きくなるのは、作者さんは計算済みなんだろうな。できれば、大人で指導者同士の、晶との会話部分も聞きたいのだけど、削られているのだろうか。

この作品の、「大人は意外と中身が大人になっていない」と言う点を、今後の晶が抱えている「光が見えない」という思いを表現する時にでも、もっと出してきてくれたら、サバサバとエピソードを進める感じと合わせて、本作の良い味になると思うんだけどな。どうなるかな。

 

 

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