はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

この音とまれ! 第24話「正解のその先」 感想

 山本の数学から音楽、そして旅館経営という激動の人生の流れをさりげなく取り入れていたが、本人が明るいだけで結構大事だぞ。新卒から10年の年だから大体32歳になるので、親は大体若くて50後半辺りから60代くらいか、この段階で跡を継ぐことは想定していなかっただろうな…。

 

作品の内容

珀音高校の神崎澪は、楽譜から正確な音を見て、そこから飛び出さない様に琴を弾くイメージを今まで持っていた。そして、それしか弾き方を知らないのだと本人は気にしてる様子なのだった。

現在、珀音高校の筝曲部顧問をしている数学教師の山本山本と、琴との出会いは、新卒時代に筝曲部の顧問を進められたことがきっかけだった。生徒から楽譜を見せてもらい、一目見て数学に通じるものを感じ、家に帰って筝曲の古典を聞いて、その緻密に計算された世界に感動しのめり込んでいく。筝曲の本を読み、楽譜を作る山本だったが、彼の作った曲は生徒が弾いてくれず、残念がる事になるのだった。

珀音高校でも、筝曲部の顧問になった山本は、新入部員が豊作だったと嬉しそうにしながら部室へと足を運ぶ。たくさんの新入部員の中で、自分の曲を弾いてくれる子がいてくれたらと期待していた山本は、部室の中からまさに自分の作った曲が漏れ聞こえたのを聞いて驚き、その完成された弾き方に興奮するのだった。

山本の曲を弾いていた澪は、嬉しさのあまり興奮しながら話しかける山本のお願いを断り、彼の他の曲は弾くことなく部室から出て行ってしまう。部室に残された山本は、澪が言っていた自分の音がつまらなくて嫌いと言う言葉に引っかかりを感じ、幼馴染の鈴森詩を廊下で呼び止め、澪と琴について話を聞く。

澪が抱えている琴への悩みを聞いた山本は、屋上であおむけの状態で膝を抱えていた澪に話しかけ、再度自分の曲を弾いてほしいとお願いする。澪は山本を見上げながら、自分の音のまま山本の曲を弾いても意味が無いと返すが、山本は、澪が正解のその先の音を出せる曲を自分が作ると宣言し、澪は思わず起き上がって山本を見つめるのだった。

そして、現在の全国予選まで来た山本は、ステージへ移動する部員達に付き添っていた。あまりに緊張している顧問に対し、部長からしっかりするようにと注意され、さらにこの予選が終わったら教師を辞めると言う彼の事情まで言われてしまい、知られていないつもりだった山本は大層驚くのだった。本当に教師を辞めるのかという部長と、部員達の視線を受けても、山本は悩んで決めた事だと笑って答え、そのやり取りに一人だけ背を向けていた澪は、何か考えているような表情なのだった。

観客席では、晶に強制的に車に乗せられて連れてこられたさとわの母・千春と、晶の祖母の堂島が二人並んで席に座っていた。これまでの演奏を聴いていた堂島は、レベルが大したことない学校ばかりだからと、変えるように千春に提案するが、千春は自分が拒絶したさとわが、自分に土下座までして部のために動いていることを思い出し、外の空気を吸ってくると席を外してしまう。千春が帰るそぶりを見せなくても自分は帰ろうと決めた堂島だが、晶に言われた言葉が思い出され、自分が琴と向き合えていない時間を思い、もう手遅れなのだと諦めた気持ちをもって、会場を後にしようとエントランスまで出ていく。しかしそこで堂島に声を掛けたのは、晶の兄・慧士なのだった。

調弦室では、滝浪が時瀬高校のメンバーに移動の準備の指示を出していた。途端に緊張が押し寄せ、騒がしくなる三バカと、それを鎮めようとする愛もサネと滝浪を間違え、妃呂はさとわに抱き付く始末。そんな中武蔵から円陣の提案が上がり、生徒たちだけで円陣を組むことになる。愛は、円陣によって仲間の体温を感じ、少し落ち着くことに気付くが、組んだ後も何も言わない武蔵に対し、掛け声を要求する。

まだみんなと弾いていたいと話し始めた武蔵に、愛は彼の後頭部にチョップをくらわし、気合の入る言葉にしろとまた要求することになる。愛の言葉の通りに、武蔵から絶対に全国行くぞと言う掛け声が上がり、皆はそれにこたえるのだった。

珀音高校の出番だと、緊張感をもって望む観客席の哲生と衣咲。衣咲は心の内で、邦楽祭の時の珀音の正解のような音であれば愛たちが勝利できると確信していたが、それ以上の音が出せるようになっていれば、勝敗は分からなくなると、珀音高校を評価していた。

舞台袖で、生徒たちを送り出す山本。彼に対し、選別に全国を送ると返していた部長。そこへ次の演奏校である愛が入ってきたため、澪は愛に視線を送り、愛もその視線に気づくのだった。

珀音高校による「堅香子」の演奏が始まり、曲の中心として中央の最前線に座った澪は、山本の曲や、愛の音に出会ったおかげで自分の音が掴めそうだと演奏を始める。

最初の一音に驚かされた塚地だが、聞くにつれて奏者の力量と曲の構成のうまさに気付き、聞きやすさは曲の影響が大きい事を見抜く。舞台袖で聞いていた滝浪やさとわも同じことを考え、滝浪は教え子を見守る山本を見て、作曲の才能を評価する。

塚地が、珀音高校の奏者の力量も認めた頃、澪は弾きながらもこれまでの自分の音に対して悩んできた年月を思い出していた。

幼少期から琴を習い始め、自分が琴を弾くと音が死ぬとまで言った澪。預けられていた家の子だった詩は困りながらも澪を励まし、澪も努力を続ければ自分から生きた音が生れると考え、琴を続けていく。

高校生になった今も、自分の好きな音が出せなかった澪だったが、自分の好きな音が出せるように、澪が弾きたいと思う曲を作ると言ってくれた山本との出会いが訪れ、邦楽祭で心そのものの音を奏でる時瀬高校の演奏を聴き、自分の中で何かが変化した澪。

いつか山本が言っていた、自分自身が道になると言うことを意識して、正解の音の道から外れるイメージを持てた澪は、生き生きと演奏をし始め、それからは澪を中心にブラックホールが誕生したかのような強烈な惹きが発生し、観客の塚地どころか、共に弾いている部活の仲間まで、その引力を感じてしまう。

部長が常々言っているのであろう「他の部員の事を忘れるな」と言う注意の声が聞こえた気がした澪は、部員も巻き込んで一緒に演奏することに気付き、その様子に山本は緻密な計算で作られた宇宙を想像する。

楽しそうな笑みを浮かべる澪に、山本は曲名にした堅香子の意味を思い出し、自分と澪の二人が琴に出会ってちょうど十年経ったと、その想いが見事に咲いたことを自覚するのだった。

珀音高校の演奏が終わり、会場から拍手が送られる中、澪は満足そうにほほ笑んでいた。会場の雰囲気と、澪の琴の音が最後の方で覚醒した様に感じられたさとわの表情は硬く、愛は琴の表現の深さに感動した様に笑顔になっていた。

自分たちの演奏の順番がとうとう来てしまい、また緊張が戻ってきてしまった三バカと妃呂。何か声を掛けて緊張を和らげなければと考えたさとわだが、愛が彼女の髪の毛を一房掴んで気をそらしているうちに、武蔵が皆の中心に進み出て、部長らしく自分たちが一番練習したから大丈夫だと声を掛ける。先ほどの円陣とは違って場に遭った言葉に、愛は嬉しそうに武蔵の頭に手を置いて喜び、晶の後押しもあって硬さが抜けた部員たちは、係員の誘導に従ってステージに進もうとする。

最後に滝浪がどうして全国に行きたいのかを思い出せと言葉をかけ、二年生を含めたみんなでまだ琴をやっていたいという目的を噛みしめた部員達。円陣で武蔵が叫んだ絶対に全国へ行くと言う言葉を背負って、ステージへと進むのだった。

 

ここから感想

弦楽器と言う物は、音の変わりようが半端ないのだから恐ろしいって話を、たしか先週もしたと思う。弦楽器はギターのFで終わった自分だが、澪の言っている「自分の好きな音」「音が死ぬ」という感覚は多少分かる。音が見えるとかは既に超感覚の域だし、オリジナル以外の言葉で表現できないので、内容部分ではだいぶすっぱ抜いた。こういったところは、絵のあるマンガやアニメは話が早いよな…。

珀音の顧問・大心の件は転勤などでは無く、一身上の都合による退職なことが判明。彼の話の中で、さりげなく学校が変わっているところや、新卒に筝曲部なんて特殊な部活動をあてがう、職場の事情めいた話もさりげなく入れつつ、彼が勉強熱心な姿勢や、順調そうな教師生活が窺えたのは、表現を簡略化することが得意な、この作品の良さだなと改めて感じた。

そして大心以上に、堂嶋のばあさんが晶の言葉を気にしているあたりが最もこの話で感動した部分だったな。第一の孫である慧士が来てくれて何よりだよ。てか、慧士は晶に頼まれてきたのか、それとも妹が教えた生徒たちの演奏を聞きに来たのか、どちらなんだろうね。

 

にほんブログ村 アニメブログ アニメ感想へ