はちよりうえ

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この音とまれ! 第23話「王者の覚悟」 感想

愛が姫坂女学院の思い上がりを音で感じていたことがここで発覚したのは、何気にシビアな表現方法だと思う。審査員ならこの点は著明に感じるだろうし、姫坂女学院としては、邦楽祭で負けて良かったのかもしれないね。

 

作品の内容

10年連続で全国大会の出場記録を持つ私学姫坂女学院。その記録は筝曲部の部員にとって誇りや自信につながっていた。しかし、先の邦楽祭での神奈川県立珀音高校の優勝によって、その栄光は当たり前ではなくなる。敗退後のミーティングでは、一年生の若葉は珀音の実力を認められなかったが、二年の八重や三年の部長からは自分たちに油断があったと指摘が上がり、部活の世代は三年から二年へと引き継がれることになる。

かずさは史との下校中に、自分が珀音高校や時瀬高校を完全に見下していたことを認め、自分が恥ずかしいと泣く寸前の顔で打ち明ける。そんなかずさに対して史は、かずさの脳天にチョップをかまし、今回の事があったからこそ万全の状態で次の大会に備えられると、かずさの肩に手を回して、共に前を向くように先に進むのだった。

全国大会予選の楽譜が配られ、「三つのパラフレーズ」の楽譜に目を通した筝曲部の部員たちは、その難しさにやりがいを見出していた。さらに顧問から、予選大会でも参加者のオーディションを行うと発表があり、二年の穂澄は押手が苦手なのだと不安に感じていたのだった。

大会に向けての練習が始まり、夏服から冬服に変わったころ、部活のミーティング中に一年のかずさと若葉が、練習時間についての話し合いから、喧嘩へと発展しかけてしまう。何とか穂澄が間に入ってその場はとりなすが、元々馬の合わなかった二人にはしこりを残すことになり、若葉はかずさに対する不満を、他の部員に言うほどまでに関係は悪化してしまう。

たまたま若葉の発言を部室の入り口で聞いてしまったかずさは、自分ばかりか普段からさとわの技量を褒めていたために、彼女までも悪く言われることにいら立ちを覚える。しかしその場も穂澄がとりなし、若葉は納得こそした様子はなかったが、かずさを悪く言うことはやめたのだった。

何かと部員達に気を回してくれる穂澄だが、演奏の技量はなかなか上がらず、練習中も顧問に押手が足りないと指摘を受けてしまう。かずさから見ても、押手に使う穂澄の左手は、指の先端は赤くはれ、指全体もむくんでしまっている状態だったが、本人は皆よりも練習しなければと部活後も残って練習を続けようとし、かずさも一緒に練習につき合うのだった。

オーディションに挑んだ穂澄だったが、17人いる二年生で唯一落選してしまい、思わず同じ二年生の夏目るいが顧問に意見するが、穂澄は実力が無かったのだと彼女を笑顔で止める。穂澄の態度にるいは泣きそうな顔になり、かずさや若葉もその様子を見ている事しかできないのだった。

部活が終わり、一人で残ると言う穂澄に、るいはそれ以上何も言えずに先に帰り、一人で泣く穂澄を見たかずさはたまらず声を掛けようとするが、それを若葉がかずさの肩に手を置いて止め、そのまま部室から離れるようにかずさの手を引っ張って行く。明かりのついていない廊下で、かずさの行動の無神経さを指摘した若葉は、そのまま穂澄のためにも全国大会に出場するという胸の内を明かし、かずさもその意見にだけは賛成だと、二人揃って同じ目標へと向かうことができるようになったのだった。

王者としてのプライドや、出られなかった部員の為にも全国大会へ進むという意思をもって臨んだ「三つのパラフレーズ」を演奏する姫坂女学院。音を揃えるのはもちろん、細かな音の変化を流れるように弾きつつ、押手や音の高さを変えるために柱を動かす膨大な作業量も、ズレなくこなす彼女たちに会場は圧倒される。

仲間の演奏を舞台袖で聞いていた穂澄は、オーディション後を思い返す。仲の悪かった一年生のかずさと若葉が、二人して顧問に練習時間を増やすように依頼したことや、同じ学年のるいも、自分に全国大会で演奏できるように準備しておけと声を掛けてくれたことを嬉しく思った穂澄は、全国予選までの期間も全力を出そうと、演奏者のサポートを行おうと、顧問に申し出ていたのだった。

姫坂女学院の演奏は見せ場に入り、細かい音での掬い爪や、半音や全音を上げるための押手を、24人という人数で合わせてきている事に、琴の専門雑誌の編集者である塚地でさえ、表現こそ悪いが、彼なりに高評価を付けていた。時瀬高校も客席から演奏を聴いて、練習してきている音だと、全員が感じ取っていた。

演奏が終わり、かずさの妹のねねも客席で拍手する中、かずさと若葉はお互いに出来栄えは良かったと目配せし合う。かずさは舞台袖で満面の笑みで拍手を送る穂澄の様子を見て、自分自身も嬉しそうにほほ笑むのだった。

湧きたつ会場内で、今までの記録が当たり前だと言う音から、全力を出して曲に向き合ってきた音へと変わった姫坂女学院の演奏に対し、愛は今回の演奏は良かったと認め、その上で自分たちの方が上だと断言して見せたのだった。

エントランスの自販機でブラックコーヒーを買っていた滝浪は、珀音高校の顧問・山本大心に声を掛けられ、その場で立ち話に入る。山本が同じ数学科の教師だと知った滝浪は、ついでとばかりに気になっていた作曲者の東条雅についても、何者なのか聞こうとしたが、山本が赤面しつつ、演奏や曲の事を褒めてもらったのは初めてだと言ったため、当の本人が作曲者であることに気付く。明確な回答こそ得られなかったが、生徒に連れていかれる山本を見送り、東条雅が音楽家では無いからこそ、調べても出てこなかったのだと納得するのだった。

滝浪の指示で調弦室へ向かう愛たちを見つけた衣咲は、愛の友人である哲生に声を掛けるかと尋ねるが、哲生は集中を切らすといけないからとこれを断っていた。そこへ、武蔵の先輩である真白が現れ、衣咲の隣の席に腰を下ろし、時瀬高校の演奏曲の「天泣」について、読み方と、どのような曲なのか、思いをはせていたのだった。

調弦室に向かう途中、既に緊張しているサネや光太、みっつの様子を見て、自分も緊張しないようにしなければならないと考えていた武蔵。しかしその表情が怖いと、妃呂にほっぺをつねられて指摘されてしまう。自分を叱るような口調の妃呂の手も、震えている事を思わず指摘した武蔵は、彼女も緊張している中で、自分を励ましてくれたのだと思わず笑ってしまったのだった。

調弦室で晶が合流し、機会を逃すまいとさとわは晶の分のお守りを手渡す。やはり恥ずかしいのか、赤面して逃げ腰になりつつ捨てて良いと口走るさとわに、晶は嬉しそう笑って礼を言ったため、さとわは意外に思い、晶をみつめてしまうのだった。

さとわから、さとわ自身の分のお守りは作っていないと聞いた愛は、自分の分のお守りにさとわの名前をマジックで書き足す。自分と愛の名前が並んだお守りを見たさとわは、思わずお守りを凝視してしまい、その表情を見た愛は、嬉しそうだったと認識し少し考える様子を見せる。

客席では、編集者の小牧が、姫坂女学院の演奏以降、大した差の無い演奏が続いたため音を上げていた。小牧を注意する塚地も、心の内では小牧の意見には同意していたが、珀音高校の順番が迫る中、またも姫坂女学院を破ってくれる演奏を期待していた。

件の珀音高校はステージへと移動を始めていたが、部屋の窓際で体育座りをしたまま動こうとしない澪に、顧問の山本は隣に座って声を掛けていた。詩から山本について、何らかの事情を聴かされていた澪は、山本を太陽と呼び、山本で光合成をすると言い出し、その要望にも明るく澪の手を握って力を籠めるという対応して見せる山本に、澪は思わず柔らかい笑みを向ける。

筝曲部の顧問になって10年になると振り返っていた山本は、今日が最後の日だと、生徒たちの後について、ステージへと向かうのだった。

 

ここから感想

本当に弦楽器って恐ろしいと思う。演奏中に音の高低を決める柱を移動させるとか、いくら印やら腕の長さで測るやらと、決まりがあったとしても、妃呂の言う通り柱を倒す危険性もある中でやるなんて恐ろしいわ。

今回は姫坂の話のみで終わり、先輩の穂澄が泣いていたのは邦楽祭後ではなく、予選会のオーディション後だと分った。邦楽祭後に泣いている様なイメージで22話の内容を書いたので、この点は間違ってしまった。

そして、この大会から二年生が主導になる学校が多い事が窺える姫坂の回想シーン。主軸になっていた三年生が抜けることで、だいぶ音も変わってしまうこの段階での全国予選。しかも全国大会本番には一年生も入ってくると言うこの日程の悪さ。改めて層の厚だが必要になってくることが分かるが、この理不尽なスケジュールは、いつかの静音ばあちゃんではないが、どうにかならないものかね。

来週は、今まで絵だけ・説明だけだった珀音高校の演奏が、やっと聞けると思えて期待しているんだが、珀音の抱える事情も判明するのはだいぶすっきりするな。顧問・山本の退職なのか、県立高校ならではの異動なのか…いずれにしても山本の「この日が最後」と言う意味が分からないな。

 

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