はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

Fairy gone フェアリーゴーン 第24話「放たれた空 つないだ手」感想

 最後まで視聴した結果、やはり「妖精」を題材にしているのに、作中の一般人は一切それについて語ったり噂したりしていないという点が非常に残念。作中の表現として何か理由があるわけではなく、たぶん作り手さんがそこまで意識していないんだろうなと感じるのもまた、作品の世界が広がらなかった原因なんじゃないかな。

 

今週の内容

マーリヤが神獣を解き放とうと走り出した頃、グリフに対して、フリーとウルフランは、二人がかりで交戦を始めていた。

最初の妖精武器同士の攻防は、グリフがウルフランのフラタニルの短剣を、義手型のペインシーラーで握ったまま、上腕部分でフリーの長剣型のヴェロスティールを受け止めるなど、分が悪いながらも対応されてしまっていた。しかし、グリフがいら立ちに任せてノルカを出したため、これをフリーのレッドフットとウルフランのフィッチャーで攻撃して霧散させる。

妖精からのダメージを受けたグリフだが、それでもペインシーラーに仕込んである槍でフリーの攻撃に対応する。フリーも向かってくる槍の切っ先をヴェロスティールで受け流しつつ、自身も回転した遠心力も加えて斬りかかるが、これはグリフがペインシーラーを装着した右腕をあげて防御態勢を取ったために防がれてしまう。このグリフの動作の隙をつき、今度はウルフランが攻撃を仕掛けるが、仕込み槍を戻すタイミングでも、グリフが攻撃に転じたため、ウルフランは右内腿を斬られてしまう。それでも無事な左足でグリフの頭を蹴り飛ばし、フリーが知りたがっている神獣の止め方について、アインツ教団が目論んでいた計画を明かして、情報提供をするのだった。

ウルフランが話した、神獣による破壊の後の、自然に任せた世界の再構築を否定したグリフに、フリーは斬りかかり、ヴェロスティールの本来の力を発揮させてペインシーラーの槍の部分を斬り落とす。

ペインシーラーの武器となる部分を破壊されても、グリフは新しい世界の指導者となると語り、その内容に、人類全てが滅びるわけでは無いことを察したフリーとウルフラン。いずれにしても、グリフの思い通りにはさせまいとヴェロスティールを振るうフリーだが、太刀筋が読まれていたのか、またもペインシーラーで掴まれてしまい、グリフはフリーにとどめを刺そうと、胸に手を当てて妖精を発現しようとする。

グリフの身体から妖精の光が形を成そうと出てきた段階で、ウルフランがグリフの懐に入り、フラタニルの短剣でグリフの手のひらごと彼の胸を突いたため、妖精の光は消え、グリフはそのまま倒れ込んで絶命する。

ウルフランはフリーを神獣の元へ送りだし、自分が復讐に捕らわれた理由でもある、妻子への想いを今一度永遠のものだと捉え直し、一人泣き崩れるのだった。

神獣を止めようと向かっていたマーリヤは、神獣の放つ光は妖精武器で防ぐことができることを発見する。ヴェロニカに呼ばれたため、一度建物の残っている区域へ戻り、先ほど発見した姉妹を神獣の進路とは違う方向へ連れ出し、見送る二人。マーリヤの考えている事を、妖精の悲鳴のような声から察したヴェロニカは、妖精を解き放ちたいと言うマーリヤに協力し、自分のブラッドドーターが入る傷口さえあれば、神獣の体内にある妖精器官を破壊できると提案し、今度は二人で神獣に向かって走り始めたのだった。

腹部に怪我を負ったダミアンを連れて、神獣の攻撃に成す術も無いと眺めていたセルジュ、クラーラ、ロバートの三人は、砂の中を神獣に向かって走るマーリヤとヴェロニカを発見し、セルジュの妖精・プリンツテイルの砲撃で彼女たちを援護しようとする。

セルジュの行った砲撃を受け、神獣は宮殿に向かっていた進路を変え、彼らが立っていた辺りに向けて光を放つ。相手の鼻先がこちらに向いたのを確認したセルジュたちは、すぐに非難し始め、神獣の攻撃から逃れる。

神獣の近くまでたどり着いたマーリヤとヴェロニカだが、神獣の鳴き声を真正面から受けてしまい、妖精の声が聞こえる彼女たちは、その余波で立っていられない程に苦しんでしまう。

それでも二人でならできると励まし合い、ヴェロニカはモルテラントを、マーリヤはソロリアスを手に神獣へ向かって再び走り出す。すると、二人を敵とみなしたらしい神獣は、角を自在に伸ばし、操って物理的な攻撃を加え始める。強大な神獣の重みのある攻撃に、マーリヤは弾き飛ばされた時にソロリアスを手放してしまい、とっさに出したアッシュクラッドの攻撃も、効果を実感する前にかき消されてしまう。

妖精武器を手放してしまったマーリヤを神獣の放つ光の攻撃から守るため、ヴェロニカは自分がモルテラントを地面に突き立てて攻撃を無効化させ、ブラッドドーターでマーリヤ自分の背後に庇う事で乗り切って見せる。

ヴェロニカはその勢いで、神獣の角による攻撃をいなすか、かわしながら乗り切り、ブラッドドーターに自分を投げさせて、神獣に傷をつけようとモルテラントを振りかざす。

あと少しと言うところで、神獣の角がヴェロニカの腹部を貫き、そのまま捨てるように彼女の身体を放る神獣。マーリヤはヴェロニカに近づこうと彼女の名前を呼びながら走り、神獣の角が執拗に攻撃を仕掛ける中、ヴェロニカの身体を抱きしめ、砂の斜面を転げ落ちる。

レイ・ドーンへの仇討を考え、犯罪に手を染めた自覚のあったヴェロニカは、罪滅ぼしをするためにも生きたかったとこぼし、マーリヤのために命を使うと、神獣が光を放つ前に、残っていた建物の地下部分にマーリヤを突き飛ばし、砂となってしまうのだった。

マーリヤは崩れ去るヴェロニカの姿に泣き叫ぶが、ヴェロニカの妖精原体が砂の中から出てきたのを見て、思わずこれを自分の中へと受け入れる。

二体目の妖精原体を受け入れたマーリヤの中で、アッシュクラッドとブラッドドーターが抱きしめ合い、新しい姿の一体の妖精・アッシュライクスノウとなる。その妖精が、人らしく動くようになった口を動かし、自分の名前を呼んだように感じたマーリヤは、地面に仰向けに倒れていることに気付く。

自分の中にヴェロニカの妖精・ブラッドドーターが居るのだと感じ、彼女が生前に立てた作戦を自分が引き継げると考えたマーリヤは、宮殿に向かって進み始めた神獣の、遠くなった後ろ姿を確認する。

マーリヤは、バイクで神獣に向かっていたフリーを呼び止め、後ろに乗せてもらいながら、ヴェロニカの死と神獣に対する作戦を伝える。ヴェロニカが命を落とした事で泣きそうになりながらも、神獣は解き放つと力強く断言したマーリヤに、力を貸す思いでフリーもまた、神獣に一太刀浴びせると約束するのだった。

バイクで神獣の前に回り込んだフリーとマーリヤは、フリーがレッドフットを足場にして、ヴェロスティールを手に神獣の懐に飛び込み、傷をつけることに成功すると、今度はマーリヤがアッシュライクスノウを出して神獣へ向かわせ、胸の傷から灰となって体内へ入り込み、神獣の妖精器官を破壊したのだった。

神獣が消滅し、その余波で砂を巻き上げる中、フリーは融合体となった状態でアッシュライクスノウを使用した負荷で倒れたマーリヤを探す。

姿を現したチマの力を借りて、マーリヤを見つけて助け起こしたフリーは、世界から去っていく妖精と、今回の件で失ったものが多いと話すマーリヤに、語り継ぐことで終わりにさせなければ良いと答え、ヴェロニカの事も覚えておきたいからと、マーリヤと共にいずれ話してほしいと提案する。フリーの言葉に思わず泣いたマーリヤだが、彼が皆を探そうと手を伸ばすと、力強く返事をしてその手を握り返すのだった。

アインツ教団による神獣の復活と、街の破壊のよる被害で、多数の死者と非難による別れが生じたロンダキアだったが、復興は少しずつ進み、ドロテアも加重逃走罪のアクセルを捕えるなどの、通常業務へと戻っていった。

首相代行のレイ・ドーンも殺害され、首相の後任が決まらない中、ドロテア局長のネインは、統一ゼスキアの閣議に参加し、軍主導の政権にならない様にと圧力をかけていた。

また、ダミアンは黒の妖精書の著者であるアルバストラの末裔としての知識を生かし、妖精省に入っていた。

ドロテアの行き付けになっている店では、偉大なる常連と名乗っていたゴンザレス、スティーヴ、ライランの三人が酒を酌み交わし、その三人の間には、誰かの定位置だったらしい椅子が一つ、空けられていた。

海外への旅を始めたスウィーティーは、海風を楽しみ、それにつき合うパトリシアは、仕方が無いと頬杖をつく。

澄んでいた町に戻ったウルフランは、近所に住んでいた老人と再会し受け入れられ、

マーリヤが訪れた後のビャクレーでは、ジングルとディキドロがマーリヤの様子を思い返していた。

故郷のスーナにある両親の墓石の隣に、ヴェロニカの墓を建てたマーリヤは、彼女への報告とこれからの抱負を語り終え、フリーと共に、妖精を武器として使わない世の中にするため、先はまだ長いと、進んでいくのだった。

 

今までに作中で表示・表現された年号と出来事 ※青字は今回追加分

統歴467年

レイ・ドーン 兄のユルゲンと共に故郷のスーナ近くの森で融合体の誕生を見る

統歴481年

サイダル王 ゴルバーン・ヘルワイズが皇帝の勅命が下ったとして隣国ティムーンに進軍を開始。

統一戦争開始

統歴486年

マーリヤ誕生 のちに母テレサ・ノエルが死亡する

イヴァン・ノエル スーナ近くの森で融合体の犠牲になり死亡する

統歴487年

レドラッド妖精兵研究施設で妖精器官の移植する手術を受けるフリー

レドラッドの開兵式場に参列するフリー、ウルフラン、ジェッドの三人。

統歴491年

マーリヤ、スーナのユルゲン・ゾーンの家で育てられる。

スーナの森で、ヴェロニカがマーリヤに声を掛け、仲良くなる。

レドラッドでユアン・ブリーズとの戦闘中に、フリーを庇ったジェッド・グレイブが戦死。

統歴493年

スーナがレイ・ドーンによって滅ぼされる。

マーリヤとヴェロニカが追手の兵士から逃れる途中で分かれる。

フザンで、路地に倒れるヴェロニカ〈意識あり〉

統歴494年

ファナチカで、人を避けて山に入り行き倒れたマーリヤをヴィクトルが保護する。

統歴495年

レドラッド。レドラッド王・オルバニーが自害。これによりレドラッドは降伏宣言を出す。

レドラッド。自宅があったブランハットで、ウルフランが妻子が戦闘に巻き込まれ死亡したことを知る。

統歴496年

統一戦争終了

レドラッドのロンダキア宮殿でサイダル王のゴルバーン・ヘルワイズがゼスキア皇帝に王位を返上し宰相となる。

マーリヤを育てたヴィクトルが病気にかかる。

統歴497年

ファナチカでマーリヤを育てた人物・ヴィクトルが死亡。

焼け落ちたスーナにマーリヤがヴェロニカを探しに戻る。

旧カルオー領ツバルで、ヴェロニカがレイ・ドーンを襲撃するが失敗。その数か月後、ヴェロニカを探しにマーリヤがツバルに到着。

元サイダル王のゴルバーン・ヘルワイズが統一ゼスキアの首相となる。

統歴498年

エディ・ロイドが統一ゼスキア軍人工妖精整備部門を依願退職。行方知れずとなる。

統歴503年

リトローク公 ウマル・ジュジュマンが処刑される。

統歴505年

マーリヤ、ドロテアに入隊。

終戦から10年目の記念式典開催

ハイブランツ公 シュヴァルツ・ディーゼが反逆を起こし、カルオー公 レイ・ドーンによって討ち取られる。

統一ゼスキアの首相 ゴルバーン・ヘルワイズがアインズ教団によって暗殺される。

首相暗殺に伴い、事態の打開のためカルオー公 レイ・ドーンが地位と領地の返上をゼスキア皇帝キャスタル・ハロルに申し出て、首相代行の命を授かる。

アインツ教団による神獣を使った世界に変革をもたらす計画により、首相代行のレイ・ドーンが殺害され、神獣の被害はレドラッドに甚大な被害をもたらした。

 

ここから感想

結局、最後まで戦争と妖精について登場人物たちなりに話して解決や納得をさせる場面はなく、最後まで妖精関連の設定を盛っていっただけの本作は、予想通りのまとまらなさで最終回を終えてしまった。

戦後10年と言う、不満や犯罪が燻っている舞台設定でありながら、戦争の代名詞の妖精兵、七騎士、5公と呼ばれる人物はまだしも、統一国であるが故の元の国の体系や、マフィアの存在、さらに人工妖精や妖精技師、妖精学者、妖精省と、妖精原体の数が限られている中でのこの大仰な体制。しかも一般人には妖精は縁遠い物と言うアンバランスな設定で、内戦だの宗教の暴走だのを描いて、物語を終わらせるのは、頭一つで考えるのは無理があったね。

気持ちの流れも、セリフも繋がらない部分が多く、後半になってフェードアウトしていったスウィーティーに至っては、海外逃亡の提案の後、マズリアに顔を出したきりで終わっており、いくら最終回の最後で海外に向かっている様を描かれても、「失ったもの (スウェイーティーの場合は父親)を思い続ければ、ずっと一緒に居られる」という一例に体よく使われたくらいで、彼女に使った時間は、ウルフランやヴェロニカの心の動きを表現する事に割いても良かったのではと考えてしまう程に、キャラを薄っぺらくしてしまった。

何となく「神々しい存在がいる世界」を目指したのだろうな、と捉えることは出来る世界観ではあったが、舞台設定、キャラクター、内容共に「ここをこうすれば」というターニングポイントも無い状態だったのは、ある意味記録的と思える。せっかくのオリジナル作品だからと感想を書き始めたが、こういった結果になったのは非常に残念だ。

 

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