はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

Fairy gone フェアリーゴーン 第10話「災いの子」感想

 

サブタイは言うまでもなく、マーリヤの事だね。で、もう一回戦争をしたい人に振り回される終戦10年後の世の中、という事か。戦後じゃなくて戦前だったんだってことかい?

 

今週の内容

フラタニルの移送時に襲撃された事件で、ドロテア側にも死者を出した。遺体を安置する部屋で、オズを囲んで悲しむ第一部隊の面々。そこへネイン局長が入室し、死者一人ひとりの顔を見て、最後にオズのそばで悲しんでいたフリーの隣に立ち、感情に流されそうになった表情を引き締めるのだった。

自分の責任だと、フリーがネインに言うと、すぐさまマーリヤが否定し、自分の所為だと声を上げる。その様子に、セルジュが誰の所為とかでは無いとつぶやき、リリィも取り返しがつかないのだと続ける。

ネインは、リリィが言った「犯した失態」という言葉に、妖精武器を奪われたことをドロテア始まって以来の大失態だと述べ、犠牲になるのが我々ドロテアならまだ良いとして、任務を続けるようにと宣言する。

その後、殉職者達の遺体は妖精省に引き取られ、その様子を見送るマーリヤ達。しかし、妖精省に何故引き渡されるのかとマーリヤは疑問に思い、フリーはドロテアに入った時に説明したと言いつつも、違法である妖精器官が体内にあるからだと、マーリヤに話して聞かせる。

以前この話をされた時は、誰かが亡くなることになるとは考えていなかったのだと、話を聞いていなかった心理的原因に思い至ったマーリヤは、自分の考えの浅さを思い知るのだった。

割り当てられた自室で、ベットの上で膝を抱えて落ち込むマーリヤに、心配して部屋を訪ねるクラーラ。あまり自分を責めるな、命を削る覚悟は皆出来ているのだと話すクラーラに、マーリヤはそう言う事では無く、自分の所為で誰もかれも皆死んでしまうのだと、うつ向いたまま話し、クラーラは掛ける言葉を失うのだった。

妖精省では、黒の四の内容を読んでいたマルコ・ベルウットは、満足そうにあとは黒の六さえあればと独り言を言う。そこへドロテアの殉職者の妖精器官の引き渡しを終えたグリフ・マーサーが入室し、報告を行う。黒の四はどうかと聞くグリフに、マルコは興味深いと答え、それだけに反社会組織の連中が所有すべきではないと続ける。そう言っている間にも、マルコは黒の妖精書の一部分を指でなぞり、それに対してグリフは胸の前で右手を親指から三本指を立て、握った左手をその上に重ねる動作を行う。

そのような所作をするグリフには目もむけず、マルコは妖精書の解明は、ミッドエンドで栄えていた王国トゥファールの、栄智の結晶なのだから、我々にとっても簡単な道では無いと続けるのだった。

一方シュヴァルツは、手元に届けられたフラタニルを目の前に、満足そうに笑うのだった。

空気が重い中、マーリヤが小声であいさつしながら控室に現れ、クラーラが駆け寄って様子をうかがう。オズのワッペンを握っていたフリーは、任務を行うと、ロバートには局長の補佐のために残ってもらい、他のものでカルオー公、レイ・ドーンの査察に向かうと立ち上がるのだった。

カルオー領に向かう汽車の中、マーリヤは自分が災いの子だと思い、人を避けてきたことを思い返す。

戦争中は、スーナが焼かれたために逃げ、他の逃げてきた人たちと一緒に居たこともあるが、また自分の所為で人が死ぬことを恐れて、自分から山深くに一人で入り込み、あわよくば死のうとしたのだろうという事。そこをヴィクトルに拾われ、そして二年後にはヴィクトルも病気にかかり、亡くなったこと。

その後は、レイ・ドーンを殺そうとした女の子の噂を聞き、港町ツバルに向かい、そこで十六歳まで過ごしたため、ツバルを第二の故郷だと思うマーリヤ。彼女の横では、クラーラが整った街並みに綺麗だと声を上げ、テンションが上がるとソルジュも同意するのだった。

今回の任務は、カルオー公の所有する妖精武器や、人工妖精が既定の状態かつ数量で保たれているかを見るためのものであった。しかし、レイに妖精関連の倉庫を案内されている間も、スーナを燃やしたレイ・ドーンを見る目に、力がこもってしまうマーリヤ。その視線に気づき、含むところがあるのかと声を掛けるレイだが、そう言った視線には慣れていると話し、10年という時間がたったのかと独り言を言いながら、マーリヤに背中を見せるのだった。

出された食事を、結構うまいと評価したソルジュ。しかしマーリヤは手を付けず、会いたい人がいるため、行きたいところがあると言い出し、フリーは査察の予備日の話をして、事実上の空き時間だと説明する。クラーラは心配して一緒について行きたいと申し出るが、マーリヤに断られてしまい、出過ぎた真似だったかと、気にしない様にマーリヤに言葉を掛けるのだった。

その晩、オズのワッペンを握り、フリーは何故自分は生かされるのかと考えに耽るのだった。

おそらく別の日の夜、マーリヤはビャクレイの大親分・ジングルの屋敷を訪れる。ジングルは急ぎ足でマーリヤを出迎え、彼女を子どもの様に抱き上げて昔の様に「おじいちゃん」と呼んでほしいと笑うのだった。

マーリヤが入っていった屋敷が、三大マフィア、ビャクレイのボスの屋敷であったことに少し驚くセルジュ。クラーラは、マフィアと言っても違法行為をしないのがビャクレイのモットーみたいなものだと話すが、二人ともその場から引き返すこともなく居続けるのだった。

1人で酒を飲みに行っていたフリーは、オズのためにもう一つ酒を用意するが、気が乗らないのか、進まないのか店を出ていく。

ジングルにドロテアに入った事や、探していたヴェロニカに会ったことを話すマーリヤ。マーリヤが自分の用心棒をしていた頃を、懐かしそうに話に出すジングルに、彼女は用心棒と言う仕事をもらっても、ジングルを守ったことなど一度もなく、お世話になっていただけだと、気持ちが落ち込んだままなのか、否定的な事を言ってしまう。

ハプシュタットでは、シュヴァルツが手に入れたフラタニルを実際に装着し、攻撃動作を試していた。

ドロテア本部では、新型と旧型人工妖精の誤作動の件で、誤作動を起こさせて首相の殺害を目論んだテッドからの聴取が続いており、ロバートはテッドから、新型用の割込み機や旧型の強制制御の方法に至る構造図まで、すべてアーケイムからもらったのだと話し、それを渡してきたのがウルフラン・ロウであったことが判明する。その報告を受けたネインは、考えられる目的をロバートに問うが、ロバートも考えつかず、以前に密造した人工妖精を大量に運ぼうとしていた件を思い出し、ネインはさらに今回は、戦争の火種を嗅ぎつけ、焚きつけることが多いビーヴィーが動いたことも考えると、ある思惑にたどり着くことになるのだった。

ビーヴィーたち傭兵の動きを見ていた男は、部隊がロンダキアに向かっている様子に気付き、報告しようと立ち上がる。しかし背後に回っていたソフィーによって殺害されてしまう。ソフィーは幕が上がらなければ面白くないと言い、この部隊の動きも、ビーヴィーによるものであると伺わせるのだった。

酒場から出てジングルの屋敷を訪れたフリーに、結局来たのかと言うクラーラ。もうずいぶんと時間が経つが、マーリヤは出てこないと状況を離したソルジュが、もう帰ってこないのではと不安を口にしたため、反発心からか屋敷に向かって歩き出すフリー。

屋敷内では、話していても元気がないマーリヤに、余程の事があったのかと問うジングル。それには答えず、ツバルまで来たから挨拶に寄ったのだと答えるマーリヤ。それでも暗い表情のままな彼女に、ジングルは「近しい人間を不にする」と前々から聞いていたマーリヤの不安は、一緒にいた3年が関係なかったことを証明しただろうと言い聞かせ、血が繋がらずとも家族だと語り、戻ってくるように勧める。

そんな話をしていたところ、見張りが侵入者を止める声が部屋にまで聞こえ、様子を見に行ったディキドロは、フリーとソルジュ、クラーラを部屋に入れるのだった。

ジングルが用向きを聞くと、フリーはマーリヤと同じく挨拶に来たと答え、マーリヤをドロテアに引き入れたのは自分だと名乗り出る。その経緯は話さず、ドロテアにマーリヤを入れたことについてフリー自身に責任があると話したため、ジングルは覚悟ない責任は到底受け入れられないと脅し、さらにフリーは肝の座りが悪いと見透かしてしまう。

ジングルの迫力に押されながらも、覚悟はあると返し、マーリヤを身を挺して守ると言ったフリーに、自分はそんなことを望んではいないと否定するマーリヤ。しかしフリーは、自分たちは背中を預け合う仲間なのだから、理屈抜きで仲間の為なら命を懸けるのだと話す。フリーの言葉に、オズが致命傷を負いながらも笑って見せた顔が思い出され、マーリヤは泣き出し、自分の所為で誰かが死ぬのは嫌なのだと声を上げてしまう。

そんなマーリヤに、フリーは、誰かの所為ではない、そうさせるのが仲間というものだと笑いかけ、ソルジュもマーリヤとクラーラの為ならそうすると軽口をたたき、クラーラもその時はためらわないと続く。それでもマーリヤは自分は守られるばかりで、何もできないと否定的だったため、フリーはマーリヤの傍まで寄り、目を合わせた上で、目的を果たすためにドロテアに入ったのだろうと、俺たちのために逃げることはしなくて良いと、語り掛け、その言葉にマーリヤは、今までとはまた違った意味で涙を流すのだった。

空を眺めながらお茶を飲んでいたジングルに、ディキドロはマーリヤが妖精を使えるようになったことを伝え、ジングルはマーリヤの状況が、ドロテアを辞めようにもすんなりそうさせてもらえるものではないなと理解する。そして何より、本人の意思が大事だと、マーリヤを自分の元へ帰るように勧めるのはやめた様子を見せる。そして、マーリヤに仲間ができたことを親の様に喜ぶジングルに、ディキドロは任せられるかと訝しむ。しかしそのことについても、ジングルはフリーをどう思うかディキドロに問い、卑怯な奴では無いと評価を出させ、あとは生き急がなければ良いと、フリーの危うさまで見透かしたうえで、任せてみるしかないと空を仰ぐのだった。

ツバルを出立するフリー達。マーリヤは一人街を眺め、深呼吸してドロテアのワッペンに手を当てて、明るい表情で、行く先で待っていたフリー達の元へ走り寄るのだった。

汽車に乗る寸前、レイが現れたために何事かと緊張するフリー達。レイは、緊急に知らせることがあると、首相あての信書を託すのだった。

ある場所では、密造人工妖精を乗せたトラックが群れを成して一定の方向を目指している様子に、それを確認した統一ゼスキアの兵は、戦争を起こす気かと思わず声を上げるのだった。

 

今までに表示された年号と出来事 ※青字は今回追加分

統歴481年

統一戦争開始

統歴487年

レドラッド妖精兵研究施設で妖精器官の移植する手術を受けるフリー

レドラッドの開兵式場に参列するフリー、ウルフラン、ジェッドの三人。

統歴491年

マーリヤ、スーナのユルゲン・ゾーンの家で育てられる。

スーナの森で、ヴェロニカがマーリヤに声を掛け、仲良くなる。

レドラッドでユアン・ブリーズとの戦闘中に、フリーを庇ったジェッド・グレイブが戦死。

統歴493年

スーナがレイ・ドーンによって滅ぼされる。

マーリヤとヴェロニカが追手の兵士から逃れる途中で分かれる。

フザンで、路地に倒れるヴェロニカ〈意識あり〉

統歴494年

ファナチカで、人を避けて山に入り行き倒れたマーリヤをヴィクトルが保護する。

統歴495年

レドラッド。自宅があったブランハットで、ウルフランが妻子が戦闘に巻き込まれ死亡したことを知る。

統歴496年

統一戦争終了

レドラッドのロンダキア宮殿でサイダル王のゴルバーン・ヘルワイズがゼスキア皇帝に王位を返上し宰相となる。

マーリヤを育てたヴィクトルが病気にかかる。

統歴497年

ファナチカでマーリヤを育てた人物・ヴィクトルが死亡。

焼け落ちたスーナにマーリヤがヴェロニカを探しに戻る。

旧カルオー領ツバルで、ヴェロニカがレイ・ドーンを襲撃するが失敗。その数か月後、ヴェロニカを探しにマーリヤがツバルに到着。

元サイダル王のゴルバーン・ヘルワイズが統一ゼスキアの首相となる。

統歴498年

エディ・ロイドが統一ゼスキア軍人工妖精整備部門を依願退職。行方知れずとなる。

統歴503年

リトローク公 ウマル・ジュジュマンが処刑される。

統歴505年

マーリヤ、ドロテアに入隊。

終戦から10年目の終戦記念式典が開催される。

 

ここから感想

レイに対して、故郷を焼かれた恨みがあるのは分ったけど、マーリヤはレイの兄貴に育ててもらっていた時期があるのだから、レイについても何か情報を、ヴェロニカより持っているのかなと思っていただけに、今回の態度はそうは見えなかったな。想像が外れた。

で、前々から災いの子発言は気に入らなかったのだが、「自分の所為で人が死ぬ」なんて中二病発言に、考え過ぎだとか、自意識過剰だとか言わずに、「仲間は仲間のために身を挺して守るものだ」というさらに上を行く言葉で乗り切った本作は、どの年齢層をターゲットに作品を作っているのか、もう一度考えた方が良いと思う。

今回の話で確信したんだけど、この作品、やっぱり生活・人生上の根本的・基本的なやり取りを描いてくれないんだよな。だから、たとえ中高生用だと言われても、筋が通っていないからお勧めなんてできない。なんで娘同然のマーリヤを、命の危険がある組織に入れたと話したフリーが、保護者のジングルに対して仁義を切らないでビャクレイのシーンが終わるのさ。「娘さんください」イベントで、父親に認めてもらおうとせずに、未来の嫁と理想の家庭について語る奴いないだろ?それくらい不思議な現象だったぞ。

今思えば、スウィーティーも破天荒さで乗り切っていた点もあるし、もしかすると「礼を尽くす」とか、「覚悟を示す」と言った表現が作っている人たちは思いつかないのかもしれないな。このヤバさの片りんは10年前位の作品からあったけど、最近は特に多くなってきた気がする。こうやって業界が衰えていくのって、寂しいよな。