はちよりうえ

見たアニメについて感想などをメモる。※ネタばれあり

真夜中のオカルト公務員 第12話「新宿区夜間地域交流課」感想

アナザーの認知症の話かと思ったら、孤独死とシルバーライフの楽しみ方の話だった。これも、個体それぞれで考え方が違うから、話が通じる相手で良かったよね。

今週の感想
夜、手に収まるサイズの石を見つめる老人のアナザー。その様子をうかがう様に、クー・シーが寄り添って顔を覗き込む。
そこへ、ピクシーに遅いと文句を言われながら、呼ばれてきた新が到着し、名前と何方から来たのかを確認するが、老人のアナザーはしばらく考えた後、「我は誰であったか」と分からない様子なのだった。
ひとまず、記憶がないことが分かった老人を夜間地域に連れてきた新に、だからって連れてくることは無いと困惑気味の仙田。その間も、アレから離れられないのだとつぶやく老人の言葉を通訳し、京一は依り代を必要とするタイプのアナザーかもしれないと考える。そして、仙田は、依り代が壊れたために記憶が失われたという事かと、経験と知識から原因を考えるのだった。
老人のアナザーが持っていた石を分析していたセオが、分からないと声を上げていたのを聞いて、今後の方針を考える会議を開く夜間地域の面々。石は古い石像の一部であるため、大学での分析を依頼すると言うセオ。名前さえ分かれば、対処のし様があると頭を悩ませる仙田に、新は自分が手がかりを探すと申し出て、神隠しから取り戻した姉の進路相談に出なければいけない京一や、データベースの更新が滞っているセオが共に対応できない中、一人でやってみても良いのではという話になり、仙田は、老人のアナザーの件を新に託すことにするのだった。
新はさっそく老人の元まで戻ると、お茶を見つめていたため、どうしたのかと話しかけてみる。すると、腹が減ったと返ってきたため、食べたいものを聞き、希望どおりにはちみつを用意し、一緒に食べるものも用意しようとする新。しかし老人ははちみつの瓶をひっくり返して食べ、落ちてきたはちみつの塊を顔で受け止めてしまい、大惨事となるのだった。
なんとか片づけを終えた新だが、セオから依り代を必要とするタイプのアナザーの注意事項として、依り代が無い状態は居場所がなく、こちらで用意する必要があると言われ、就業時間間近だったため、仕方なく自宅へ連れて帰ることを選択するのだった。
老人のアナザーと共に帰宅すると、既に家に居たアナザーのユキと琥珀は、「クマ臭い」「神の気配を隠そうともしない」と文句を言い、それでも仕事だからと新が譲らないため、それなら自分が出ていくと、飛び出していくのだった。
夕方、白駒女学院では榊詩織の進路相談の面談が行われていた。元々は京一の姉であった詩織が、神隠しの影響で当時の年齢のまま十年の時が経ってしまったため、見た目の年齢に合わせて姉弟の関係が逆転し、詩織を妹扱いすることにまだ慣れていない京一。そんな京一のフォローをする詩織に、教師もしっかりしてくれと苦言を言うほどだった。
一方新は、老人アナザーにベットを譲り、自分は寝袋で寝て起床時間を迎える。まずは朝食にと、またはちみつの瓶とスプーンを渡し、こぼさない様に注意して様子を見る新だったが、今度はスプーンをうまく使ってはちみつを食べる老人に安心し、住処を探しに行こうと提案する。
ピクシーにクッキーを差し出して、彼らの住処に老人を置いてもらえないか聞いてみる新だったが、ピクシーたちは老人を「あんなの」呼ばわりし、他所に行けとにべもなく断るのだった。
新しい住処探しは上手くいかず、人のいなくなった団地などにもここでは無いと首を横に振る老人。だんだんと新も疲れがたまって来た様子で、起床時間を一時間遅らせても、起きられない新に対し、その目覚ましを止めるアナザー。そして、白髪に色が戻り、背筋も伸ばしてはちみつを食べるアナザーを、元気になっていると感じるセオと京一。対して、物件探しのために歩き詰めで疲れたと話す新はフラフラの状態で、二人と仙田は、心配そうに新を見送るのだった。
疲れてアナザーの歩調に合わせられなかった新は、急いで先を行くアナザーを追いかけるが、鬼王権現の敷地を気に入ったアナザーは、借り宿に定めると鬼王権現に偉そうに宣言する。そんな新参者に怒る鬼王権現だが、新が依り代と記憶を失くして困っているのだと間に入ったため、早く連れて帰れと見逃してくれるのだった。
力が満ちている神社の土地を、趣が良く諦めがたいと気に入った様子のアナザーに、既に神様がいるのだと説得する新。しかしその途中で急に新が倒れたため、新しい依り代や、空いている土地が無ければ争いあうことも仕方ないと言いつつ、神社の奥に入っていこうとしていたアナザーも、新を支えてどうしたのかと焦るのだった。
新が目を覚ますと、セオが水晶をかざしており、夜間地域交流課に戻っていた。京一がアナザーが運んできてくれたことを新に知らせ、礼を言うことと、仕事とはいえ無茶のし過ぎを注意される新。しかし、セオは新の生命力がどこかへ流れている事を指摘し、新とは対照的に元気になっているアナザーに原因があると言う話になる。
新の生命力が流れている話になり、それが自分が原因だと言われたアナザーは、言葉が通じない京一たちから見ても驚いていたため、依り代が無くなり、心を寄せてくれる人間から無自覚に生命力をもっていっているのだろうと推測するセオ。それを聞いたアナザーは、これ以上ここにいると新を殺してしまうと、他所へ行こうとするが、新はこれが自分の仕事だと引き留め、アナザーからの怖くないのかという問いにも、怖くないと即答して見せ、折れたアナザーは改めて自分の居場所探しを、新に頼むのだった。
アナザーと再度話をして、居場所探しが必要になった下りを通訳する新。やはり名前さえわかれば、居場所もすぐに見つけられるというセオに、新はこれまで通り、自分がアナザーと一緒に行動して、アナザーの名前の手がかり探しと居場所探しを行うと申し出る。倒れたばかりの新に、まだ続けるのかと京一は声を上げるが、倒れた理由も明らかになり、自分の代わりにアナザーが元気になったと返す新の強情さに、京一は折れ、元々新に頼んだ仕事だから、自分とセオはサポートとして手がかりを探そうという事になる。
勤務が終わり、帰りにはちみつと食事の買い物をする新。そんな彼を店先で待っていたアナザーは、人が多く、しかも人種も様々だと興味を持つ。新の様な人間に会えたのも初めてだと話し、世界が広い事を知った様だった。
何かが戻りつつありそうだというアナザーに、それは良かったと並んで歩く新。そこで、空腹だというアナザーに、新は今回買ったはちみつが、外国産で美味しいらしい事を話し、アナザーは嬉しそうにする。
家に戻りはちみつを空けると、アナザーはこのはちみつの色艶や匂いを知っていると言い出し、口に含んだとたん、涙を流しながら供物として捧げられていたものだと語ったため、新は瓶に記載された原産国を確認し、アナザーが居た場所は、ウクライナであることを知るのだった。
さっそくセオに話し、アナザーがスラヴ神話のヴォーロスであることを突き留める。新を殺したく無さそうにしたヴォーロスを見て、セオはそう言う性質のアナザーは限られて来るのだと語る。そこへ手がかりになればと、「古代ウクライナ精神世界展」のチケットを持ってきた仙田だったが、既にヴォーロスの名が判明したため、もういらないかなと、頭をかくのだった。
せっかくなので、閉館後の展示を見に行く新。そこで、新たな依り代を見つけたヴォーロスは、その像に宿ることにする。宿った像がどうなるのかとヴォーロスが気にしたため、新は像を所蔵する博物館に戻るか、世界をめぐって展示されるだろうと話し、まだ見ぬ場所を見ることができるのかとヴォーロスは納得し、人の思いを糧に存在する神は、忘れ去られれば死を待つのみだったのだと新に語り、心を寄せて居場所を探してくれたことを感謝し、新の名を尋ねるヴォーロス。新が名を名乗ると、その名を良いとかみしめるように繰り返し、宿った像を乗せたトラックに移り、新達の繁栄を願いながら、ヴォーロスは去っていくのだった。
トラックを見送った新。すぐにユキと琥珀が戻ってきたため、慌ただしく区役所に帰る新。
その後も、屋敷神の鈴鹿の髪に櫛を通し、笑いあう狩野一茜。道端であおむけに倒れる人物を取り囲む警視庁のアナザー案件専門の刑事・横山たち。新宿での大量失血死体についての記事を読む詩織と泉美。さらに駅でアナザーの気配に気付き動き出す狩野一悟など、それぞれがアナザーとの関係を築いたり、関心を持つ中、新は自分の仕事に自信をもって、出勤するのだった。

ここから感想
最後は、人間の常識に寄り添ってくれるアナザーの対応を勤め上げ、新が仕事に自信をもって終了。お仕事番組としても、オカルト番組としても実に中途半端な状態で終わってしまい、作品の存在価値を見出せない。
まずお仕事番組なら、公務員というタイトル通り、役所として動いてほしかった。外回りを一人で対応しないだろ普通。今回なんて、アナザーで無ければホームレスか認知症対応なわけで、責任の所在とか、暴行事件とかのために、警察でも二人一組で動いているでしょうよ。さらに、公務員臭さがまるっきり感じられないので、単に都庁の食堂やエレベータを出したいだけなら、私立探偵とか、他にやりようはあったと思う。むしろ、公務員を名乗る必要がどこにあったのか疑問だ。
そしてお仕事番組ならではの、同僚との価値観の違いや、仕事の失敗。自分の将来なんかで悩んで対処して、やっと自分の仕事との付き合い方を覚えていくのが王道なはずなんだけど、この作品はまず、新が語るのはアナザーや人への対応方法だけで、自分の立場や、仕事でどこまで対処するかが分からない不安。この先ずっと退職まで夜間地域交流課なのかとか、例えば榊が来年から居なくなるとか、そう言った身近な不安や、将来に向けた自分の能力向上はどうしようとか、公務員を受ける段階で思い描いたものと違うとか、そう言った不満が全く無いまま、新自身が仕事を受け入れて、周りも新を可愛がっていただけで、全12話が終わってしまった。ぶっちゃけ、新の仕事に対する自信は、成長から来たものではなく、単に経験を積んで、自分の立ち位置が分かったからというだけのもので、彼の中で何が変わったのかがこちらに伝わって来なかったため、主人公が成長しなかった作品なんだなと認識せざるを得ない。成長の無い物語って、大体見るのが苦痛なんだけど、最近はこういうのでもアニメ化する作品増えたよな。
で、もう一つの要素のオカルト面でも、神とその他魑魅魍魎を十把一絡げにしてアナザーと呼んでいたため、他国の神も、猫又と同じ扱いという、神としての存在意義がほぼ無い状態で話が進むのは、どうなんだろうと思う。この状態でも、話が分かればまだそれで良いのだけど、いかんせんこの作品のアナザーは、主人公たちが困る時は神様、処理できるときは小物といった体で、言葉通り「対処できるものだけに対応する仕事」という何とも都合の良い設定のおかげで、アナザーも都合の良いチョイスでしか登場していない。出てくる相手もある程度話のキャッチボールができる相手なため、意思疎通の難しさ等を語れるレベルの話ができず、オカルト面の原因となる事柄の薄暗さや、格式の高い存在等を描けないのは、せっかく新宿に天使と天狗なんて出せたのに、余計な設定の所為で使いきれず、これもオカルトでなく、殺人事件とかでも別に良かったのではとも考えてしまう。
全体的に残念と言うよりも、何故そうしたのか疑問に思う設定と世界観だった。都合の良い設定と、主人公が成長したとは言い難い内容なので、公務員ものの作品は面白いものが多かったというジンクスだけで、見続けるものではなかったかもしれない。

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