はちよりうえ

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この音とまれ! 第19話「対峙」 感想

 今週分は晶の回想がメインになったけど、これって別に話したりしているわけでは無いから、視聴者側が知ることになっただけで、作品内ではあまり影響しないよね。こういうところは、対策と違って時間が無い作品は不利だよな…。

 

作品の内容

椿会の家元の子供として育った晶には、兄・慧士がいた。兄と母が琴を弾いている時間が、押さない晶にとっては楽しい時間であり、兄は周囲も認める様な琴の腕前を、幼いころから発揮していた。

兄妹の中も良く、出たコンクールで一位を取る慧士は、晶の自慢の兄でもあった。

晶も小学校に上がり、兄の様に一位を取るのだと、初めてのコンクールを経験するが、もらえたのは参加賞のみで、リビングのカーテンに顔だけ突っ込んだ状態でいじけてしまう。そんな晶に、慧士は自分のバク転の話をして、ケガもしたが、出来るまでやったらできたと妹を応援する。

その言葉を聞いた晶は、コンクールに出続け一位を目指した。琴に向き合い続け、中学生になったころには、兄の才能に気付き、それは自分には無いものだったと理解した晶だが、努力することは出来ると、この差を前向きに捉えていた。

晶がとうとう、コンクールで二位を取ったと話していた晶の両親。できればコンクールで一位を取らせてやりたいと話していた母親だが、そんな二人の乗っていた車に、トラックが突っ込み二人は帰らぬ人となった。

慧士が病院に駆け付けた時には、祖母は放心状態で、両親の死を聞かされていた晶は、兄に飛びついて泣きじゃくるのだった。

両親の葬儀でも兄に縋り付いて泣きじゃくっていた晶を見て、慧士は決断したように険しい表情を浮かべ、その後、兄が大学と琴を止めて働きに出る事を兄自身から知らされた晶は驚き、そのまま祖母へ反対の意を伝える。しかし、椿会の稼ぎでは高校生と大学生を養っていけない事、慧士が決断したことを尊重すべきという事を祖母に言い返され、それ以上反対することは辞めたが、才能ある兄が琴を辞める事には納得がいかないままなのだった。

椿会の弟子からも、晶の実力について反発する声が上がり、晶の祖母は、筝曲の中でも最もレベルの高い「水の変体」で晶を基礎から技術を鍛え直し、注目度の高いコンクールで一位を取るようにと、晶に指示を出す。このころから、慧士に追いつくための努力が始まり、晶にとってつらい日々が始まる。

二年間、「水の変体」に専念して実力をつけた晶は、全国筝曲コンクールにエントリーする。しかし、椿会が属する会の鳳月会の跡取りとして、中学生だったさとわの名前もあったため、晶の祖母はさとわを邪魔者呼ばわりし、晶はさとわも、自分の兄と同じ天才であり、その演奏は完ぺきだったと思い出すのだった。

コンクール当日になり、これまでの辛い日々から抜け出せると必死だった晶は、演奏を聞きに行けないと謝る、兄・慧士との会話もそこそこに家を出る。

晶の演奏は、審査員でも、琴の音も歌も雑音の無い綺麗な音だと評価する、積み上げられたものであり、彼女自身も今までで完璧な演奏だったと満足して、思わず兄の笑った顔を思い浮かべるほどだった。

努力は報われたと、後に弾く演奏を祖母と共に客席で聞いていた晶は、さとわの演奏を聴いて、たった一音で、自分の努力の結果が打ち砕かれ、天才と呼ばれる域には自分はたどり着けないと思ってしまった。その後は、表彰を受けても抜け殻の様に歩き、自分の演奏がさとわの演奏にかき消されていることが察せられる、観客の会話を聞いてしまう。

家に戻り、念願の一位の盾を見た晶は、湧いた怒りのままに今までの表彰やトロフィーを棚から薙ぎ払い、失格になったさとわに対する怒りをぶちまけて大いに泣き喚いた。これ以降は、幼いころに思い描いた楽しく琴を弾くという事は出来ない晶なのだった。

さとわがコンクールで自作曲を演奏して失格になり、破門されたことを知った晶の祖母は、鳳月会の乗っ取りを考え出す。

晶が鳳月会の跡取りに就くように言われた時、祖母が鳳月会は抜け殻の様なものだと例えたことに、晶は椿会こそ、鳳月会よりも前に、慧士が琴を辞めたことで抜け殻になっているのだと内心では思いつつ、祖母の言葉に同意して見せる。

そうして、鳳月会の内弟子として生活していた時に、さとわが現れ、家も才能も捨てて高校で部活動をしていると聞いた晶は、すぐに真面目に琴にすべてをささげている者に対して、どこまで侮辱するのだと怒りが湧くが、才能あるさとわが惹かれるものに興味が湧き、祖母の言いなりではあるが、時瀬高校の指導に当たるのだった。

さとわとの会話の中で、晶の本当の想いである、才能あるさとわが惹かれたものの価値が知りたいという事を、理由は述べずにその言葉だけを伝えた晶は、茶を濁してさとわの傍から離れようとする。

晶の少しとがった物言いの中に、何かがあると感じたさとわは、去っていく晶に対してこっちを向いてほしいと一音奏でる。その音は確かに晶に響くが、晶は天才と呼ばれる様な実力を、聞いて受け止めることはできないと、自分の暗い部分の欲求に従って他の生徒の元へと立ち去ってしまう。そんな彼女を見たさとわは、また琴の音で伝えることができなかったと、目を伏せる。

生徒の指導の最中に、十七弦のパートになった愛とサネを見比べて、呑み込みの早い愛を自分の兄やさとわと重ね、感は良いが努力型で平凡なサネを自分と重ねた晶は、この二人を同じパートにした滝浪は残酷だと思うのだった。

そんな、才能の無い自分に捕らわれた晶ではあるが、妃呂の指導では適格な言葉で指示を出し、無理のない押し手の形を比呂に習得させていた。

部活後の練習のため、仁科楽器で練習をしていた愛は、部活中に晶に指摘されたぼやけた音が気になり、さとわの様に硬い指なら弾けるのかと、彼女の手を無言で取って、指先の感触を確かめ始める。

愛の突然の行動に動揺して、怒ったさとわに、文化祭準備の時の接触事故を根に持っているのかと、少し気まずく思う愛。それでも、部活中は大人しくしていたさとわが、怒鳴るくらいには元気があったと安心し、そのことを本人に伝える。大人しくしていたのは、晶との会話が原因だとは言えないさとわは、のどの調子が悪かったと答え、愛からイチゴ味のキャンディをもらい、大事そうに握る。

仁科楽器の静音に、晶の「水の変体」の映像を受け取ったさとわは、愛の提案で部員の全員で聞くことにする。

翌日、学校に来た晶に、愛からもらったキャンディをお守り代わりに握りしめたさとわは、晶の演奏は琴に真摯に向き合っていたものであり、思惑があって自分の所属する部活を指導しに来た思っていたことを謝罪する。

しかし晶は、コンクールの出場者の中で、最も実力があったのはさとわであり、当の本人が失格行動を行ったために一位になれたと言われ続けていたと明かし、これ以上惨めな思いをさせるなと、さとわの謝罪を受け取らない。

そのままさとわから離れようとする晶に、さとわは、コンクールでの行動は、会の存続という重圧に、壊され始めているように見えた母を取り戻すため、駄々をこねたのだと本当のことを話す。そしてさらに、晶には教わりたいことがあるのだと、改めて自分への指導をお願いするのだった。

自分の愚行を話した恥ずかしさと、晶への申し訳なさを顔に出していたさとわを見た晶は、彼女が、まだ両親を亡くしたころの自分と同じ年代だったことに気付く。

さとわに歩み寄ろうとする晶だったが、ふと自分の暗い部分が沸き上がり、ここでさとわと言う天才を受け入れたとしても、やはり超えられない実力の壁は存在するのだと思い直し、さとわの一音の価値で、晶自身は鍛錬に掛けた二年と言う年月が打ち砕かれた話を出し、さとわに指導することは自分には無いと、彼女の申し出を断るのだった。

もう楽になろうと考えた晶は、職員室にいた滝浪の元を訪れ、今日限りで指導を辞めたいと伝えたのだった。

 

ここから感想

あれだね、愛の中学時代も、さとわの昔話もそうだったけど、当人の回想って多用すると良くないと思う。視点は一人称で進めているはずなのに、相手をしていた人間の感情も、覚えている当人が受け取ったもの以上の表現が組み込まれてしまうのって、作り手さんには作り易くても、一つ一つ手に取っていくと矛盾に繋がりかねないから、こうも何回も使われると、あんまり喜んでみていられない。

で、表現的には自分好みではない昔話により、さとわと同じく、晶も自分は蚊帳の外状態で進路が決定。彼女の場合は、そのままその敷かれたレールに乗っかるしかない家庭状況だった…と言いたげなカットだったけど、お兄さんが就職しても家に居るなら、晶が納得するまで話せよ、妹はもう高校生だろ?と思ってしまって、ちょっと納得がいかない。

結局、さとわが望むものと反対の行動をとる、天邪鬼な晶さん。彼女の言っている「光」が何なのか、自分がとらえきれていない面もあるので、来週の今日限りでやめます騒動の中で、もう少しはっきり分かると言いかな。

そして、凡人認定を受けていたサネ。彼がどう愛の飲み込みの速さについて行くのか、見どころだね。

 

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